「周辺」と「近隣」。
よく使う言葉ですが、似ています…。
「周辺諸国」といいますし、「近隣諸国」ともいいますよね…。
ということは、同じ意味か??
でも…。
「口の周辺がヒリヒリする」
とはいいますが…。
「口の近隣がヒリヒリする」
となると、変ですよね…。
これは、やはり違いがあるということか…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
微妙ではありますが、「周辺」と「近隣」には違いがありました!
本記事では、「周辺」と「近隣」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「周辺」と「近隣」の意味の違い!
まずは、「周辺」と「近隣」の意味の違いを端的にお伝えします。
「近隣」とは、隣り合ったごく近いあたりのこと。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「周辺」の意味とは!
「周辺」は、ある物の近くを取り巻く場所のこと。
「周辺」の意味のポイントとなるのが、「取り巻く」と「場所」という部分。
ポイントの1つである「取り巻く」ということは、ある物を中心に360度、全方位が対象となります。
たとえば、「六本木ヒルズの周辺」といった表現の場合、六本木ヒルズの東西南北全ての方向に対する近いところが対象となるわけですね。
全方位が対象となるということは、単なる「そば」「近く」も対象に含まれるということ。
ですから、「周辺」の意味が示す範囲は広いということがいえます。
それから、2つめのポイントが「場所」。
「場所」ということは、「ところ」「位置」「土地」といったものを指します。
たとえば、「六本木ヒルズの周辺」といった場合は、近くの「土地」が対象になります。
それから、「口の周辺がヒリヒリする」といった場合は、顔の「位置」が対象。
というように、「場所」の関係に対して使えるのが「周辺」です。
②「近隣」の意味とは!
「近隣」は、隣り合ったごく近いあたりのこと。
ポイントとなるのが、「隣り合った」と「あたり」という部分。
ポイントの1つめが「隣り合った」です。
要するに、家であるならば「隣り合った家」ということになります。
ですが、必ず隣り合っていなくてはいけないのか?といえばそういうわけではありません。
ごく近い家であれば「近隣」といえます。
しかし、どの程度までが「近隣」なのか?といえば、そういった定義は存在しません。
あくまでも、「ごく近い」こと、これが「近隣」です。
もう1つのポイントが「あたり」。
「あたり」とは、「物」なのか「場所」なのか、また「人」なのかをハッキリ示していないということ。
ですが、多くが「土地」「建物」「家」や「住人」が対象になります。
たとえば、「近隣に迷惑だ」といった場合。
この「近隣」の対象となるのは、隣の住人です。
この場合、「周辺に迷惑だ」という使い方も可能です。
ですが、この場合の「周辺」は、実は「近い場所」を「住人」に対して比喩的に使った表現なのですね。
決して、「場所」「土地」に対して迷惑をかけることではありませんよ。
あとは、「近隣諸国」といいますが、この場合は「国」の「土地」が対象。
ちなみに、これを「周辺諸国」といっても間違いではありません。
この場合も、「近い国」つまり「土地」ということです。
ですが「周辺諸国」は、「近隣諸国」と比べて、隣り合うほどの近さは要求されません。
ちなみに、前の項目で紹介した「口の周辺がヒリヒリする」を「口の近隣がヒリヒリする」にすると変ですよね…。
「近隣」は「あたり」を指しているのですが、多くが「土地」「建物」「家」や「住人」を対象としているため違和感が生まれるのです。
ですから、「パソコン周辺機器」といいますが、「パソコン近隣機器」とはいいません。
③「周辺」と「近隣」の違いを整理!
それでは、ここで一度「周辺」と「近隣」の違いを整理します。
ある物の近くを取り巻く場所が「周辺」。
ぐるりと全方向が対象で、「場所」「ところ」「位置」「土地」を指しています。
隣り合ったごく近いあたりが「近隣」。
隣り合うようなごく近くで、主に「土地」「建物」「家」や「人」を指しています。
2.「周辺」と「近隣」の辞書での意味!
続いて、辞書による「周辺」と「近隣」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「周辺」の辞書での意味!
【周辺】
・まわりの部分。ある物の近くをとりまく場所。「都市の―」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりの内容ですね。
②「近隣」の辞書での意味!
【近隣】
・となり近所。近所。近辺。「―諸国」
引用元:旺文社国語辞典
「となり近所」とありますので、ごく近くということ。
そして、「近所」は近くの家、「近辺」は近くのあたり。
つまり、「家」と「あたり」ですね。
3.「周辺」と「近隣」の使い方!
次に、「周辺」と「近隣」の使い方を例文で紹介します。
①「周辺」の使い方!
・周辺の土産品店や飲食店などへの客足も遠のき、売り上げが9割近く激減した。
・東京タワーや神宮球場の周辺を再現した3Dジオラマが発売された。
・ホテルが集中する大阪駅周辺で路線バスの運行が乱れ、混乱が生じた。
・パソコン周辺機器の廃棄処分を依頼する。
②「近隣」の使い方!
・野生動物公園で動物の脱走情報があり近隣がおびえる。
・近隣マンションに住む30人が損害賠償を求めて提訴する。
・地元近隣の住民を対象とするソーシャルネットワーク。
・近隣の住環境を保つためにも、ごみ集積所をきれいに使う。
4.「周辺」や「近隣」には似た意味の言葉がたくさんある!
「周辺」や「近隣」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「周辺」と「近隣」の意味の違いと使い分けについてでした。
「周辺」は、ある物の近くを取り巻く場所のこと。
「近隣」は、隣り合ったごく近いあたりのこと。
「周辺」はぐるりと全方位の近く、「近隣」は隣り合うようなごく近く。
「周辺」は「場所」「ところ」「位置」「土地」、「近隣」は主に「土地」「建物」「家」「人」が対象です。