「むやみ」と「やたら」。
よく「むやみやたらに…」といったように、2つの言葉が合わさって使われます。
「むやみやたら」の意味は理解しているつもりなのですが…。
それでは、「むやみ」と「やたら」では意味が違うのだろうか…???
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「むやみ」と「やたら」では確かな違いがありました!!
本記事では、「むやみ」と「やたら」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「むやみ」と「やたら」の意味の違い!
最初に、「むやみ」と「やたら」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
また「むやみ」には、度を超えてはなはだしいという意味もあります。
「やたら」とは、物事に規律・秩序・節度がないこと、また、むちゃくちゃなこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「むやみ」の意味とは!
「むやみ」は、後先を考えずに物事をすること。
たとえば、治安が悪い地域で真夜中に一人で出歩くのは危険ですよね。
こういった場面で、「真夜中に、むやみに出歩くのはやめるべき」といった使い方をします。
これは、後のことを考えれば真夜中の外出は危険だということ。
また「むやみ」には、度を超えてはなはだしいという意味もあります。
たとえば、「そんなにむやみに怒っても、伝わらない」といった使い方。
この場合は、ただ怒り過ぎても伝わらない、ということです。
「むやみ」は漢字で「無闇」。
また、「無暗」とも書きますが、これらの漢字は全て当て字です。
実はこの「むやみ」、「無理彌無理(むりいやむり)」が語源。
「無理彌無理」は、漢字を直訳すると「無理、ますます無理」ということ。
この「むりいやむり」の、「い」と後ろの「む」が省略されてできた言葉が「むりやり」です。
そして、前の「り」、「い」と後ろの「り」が省略されてできた言葉が「むやむ」。
「むやむ」が「むやみ」に変化しました。
ということで、「後先を考えずに物事をする」「度を超えている」という意味として「むやみ」が使われるようになったようです。
②「やたら」の意味とは!
「やたら」は、物事に規律・秩序・節度がないこと、また、むちゃくちゃなこと。
「むちゃくちゃ」、と覚えるとわかりやすいですね。
たとえば、山などでは「やたらと虫が襲ってくる」といった使い方をします。
これは、色々な虫たちが無秩序にたくさん襲ってくるという意味。
この意味は、「むやみ」の度を超えてはなはだしいという意味に似ています。
節度がない「やたら」と、度を超えている「むやみ」は同じ意味といってもよいのかもしれません。
ただし、「むやみ」は「無規律」「無秩序」「むちゃくちゃ」といった意味ではありませんよ。
「やたら」は漢字で「矢鱈」。
ですが、「むやみ」同様に漢字は当て字です。
この「やたら」ですが、雅楽の「八多羅拍子(やたらびょうし)」が語源。
「やたらびょうし」は、「八多良拍子」や「夜多羅拍子」と書かれることもあります。
そして、この「八多羅拍子」なのですが、2拍子と3拍子を繰り返す5拍子、といった独特のリズム。
しかも、テンポが速いため乱れやすく、乱れた時はむちゃくちゃに聞こえてしまうようです。
そこから、「無秩序」「むちゃくちゃ」であることを「やたら」というようになりました。
③「むやみ」と「やたら」の違いを整理!
それでは、ここで一度「むやみ」と「やたら」の違いを整理します。
後先を考えずに物事をする、度を超えてはなはだしいことが「むやみ」。
そして、物事に規律・秩序・節度がないこと、また、むちゃくちゃなことが「やたら」。
度を超えてむちゃくちゃ、しかも後先を考えずにすることを「むやみやたら」といいます。
2.「むやみ」と「やたら」の辞書での意味!
続いて、辞書による「むやみ」と「やたら」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「むやみ」の辞書での意味!
【無闇(むやみ)】
①前後を考えずに物事をすること。「―に他人を信じる」
②度を越していること。「―に暑い」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「やたら」の辞書での意味!
【矢鱈(やたら)】
・物事に規律・秩序・節度のないさま。むちゃくちゃ。「むやみ―(と・に)」「―(と・に)食べたがる」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
3.「むやみ」と「やたら」の使い方!
次に、「むやみ」と「やたら」の使い方を例文で紹介します。
①「むやみ」の使い方!
・トラックだからといって、むやみに荷物を積み込んではいけない。
・以前の電動鉛筆削りはむやみに削りすぎるという批判があった。
・しかし、むやみに問題演習をこなしても、スピードも正答率も思うように上がりません。
・筋肉トレーニングでは、むやみに追い込むのは良くないです。
②「やたら」の使い方!
・この付近の道路はやたらと渋滞していることが多い。
・犬は飼い主さんの気を引くために、やたらと水を飲むことがよくあります。
・今日はチーム内で、やたらと守備のミスが目立つ。
・今は、やたらとサッカーの試合を見ています。
4.「むやみ」や「やたら」には似た意味の言葉がたくさんある!
「むやみ」や「やたら」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「むやみ」と「やたら」の意味の違いと使い分けについてでした。
「むやみ」は、後先を考えずに物事をすること。
また「むやみ」には、度を超えてはなはだしいという意味もあります。
「やたら」は、物事に規律・秩序・節度がないこと、また、むちゃくちゃなこと。
度を超えている「むやみ」と、節度がない「やたら」はほぼ意味が同じです。
ただし「むやみ」は、無規律・無秩序でもむちゃくちゃでもありません。
また、「むやみ」には後先を考えないで物事をするという意味もありますので、気をつけてください。