「手間」と「無駄」。
違う意味のようで、実は使う場面が似ています…。
たとえば、「その仕事、手間のかけ過ぎでしょう…」と言うと、「そうそう、その仕事は絶対に無駄!」という具合…。
あれあれ?この例文を読むと、なぜか「手間」と「無駄」が同じような意味で使われている!
これはやはり、「手間」と「無駄」の違いをキチンと調べる必要がありますね。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「手間」と「無駄」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「手間」と「無駄」の意味の違い!
最初に、「手間」と「無駄」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「無駄」とは、何かをしても、しただけの効果がないこと、役に立たないこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「手間」の意味とは!
「手間」は、手数や労力のこと、また、その手数にかかる時間のこと。
たとえば、「手間のかかる仕事」ということは、普通の仕事と比較して、手数や労力が必要な仕事という意味。
また、普通の仕事と比較して、より多くの時間が必要な仕事という意味でもあります。
「無駄」の方は、せっかく仕事をしても何の効果もない、何も役に立たないという意味ですので、意味は全く異なるということ。
「手間」をかけた仕事が、役に立つか?役に立たないか?は、「手間」をかけている時点ではまだ確定していませんから。
ちなみに、「手間」の「手」は「人間の手」のこと。
「手のかかる子だった」「猫の手も借りたい」「手数料」というように、「手」は労力を意味する言葉として使われます。
そして、「手間」の「間」は、「ま」「あいだ」のこと。
「ま」や「あいだ」は、「距離」の意味もありますが「時間」の意味もありますよね。
つまり「手間」は、「労力」とその「時間」をわらわす言葉ということです。
②「無駄」の意味とは!
「無駄」は、何かをしても、しただけの効果がないこと、役に立たないこと。
たとえば、「無駄な仕事だった」ということは、せっかく仕事をしたにもかかわらず何の効果もなく役に立たなかったということ。
結局は、その仕事に費やした労力や時間をドブに捨てたということです。
これが「無駄」。
ちなみに、結果して「無駄」になった仕事は、「手間がかかった仕事」の場合もあれば「全く手間がかからなかった仕事」の場合もあります。
そういった意味で、必ず「手間=無駄」ではないということ。
「無駄」の「駄」は、馬に積む荷物の意味があり、「駄馬」や「駄賃」といった使い方をします。
「駄馬」とは荷物を運搬するための馬のことで、「駄賃」はその駄馬による運送料のこと。
そして、「無駄」の「無」は文字どおり「ない」という意味。
つまり、「無駄」はせっかく馬がいるにもかかわらず、その馬に積む荷物がないということです。
これは、せっかく仕事のための馬がいながら、仕事がなく稼げないということ。
しかも、馬は仕事がなくても餌を食べるので、「馬が餌ばかり食べて、役に立たない」「馬を養う効果がない」といった意味になります。
つまりは、馬が「無駄」ということですね。
③「手間」と「無駄」の違いを整理!
それでは、ここで一度「手間」と「無駄」の違いを整理します。
手数や労力、また、その手数にかかる時間が「手間」。
何かをしても、しただけの効果がない、役に立たないのが「無駄」。
「手間」をかけた仕事が、必ず「無駄」な仕事になるとは限りません。
2.「手間」と「無駄」の辞書での意味!
続いて、辞書による「手間」と「無駄」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「手間」の辞書での意味!
【手間】
①手数。労力。また、手数をかける時間。「―がかかる」
②「手間仕事」の略。
③「手間賃」の略。
引用元:旺文社国語辞典
意味①は、説明したとおりの内容です。
意味②と③の「手間」も、そもそも「労力がかかる」という意味ですので、意味①と同じ意味ですね。
②「無駄」の辞書での意味!
【無駄】
・何かをしても、その効果や益がないこと。かいのないさま。「―を省く」「―に終わる」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりです。
3.「手間」と「無駄」の使い方!
次に、「手間」と「無駄」の使い方を例文で紹介します。
①「手間」の使い方!
・オールシーズンタイヤ なら、年2回のタイヤ交換の手間がなくなりお手軽です。
・当初は伐採後の枝葉の撤去など、それほど手間をかけるつもりはなかった。
・配膳の手間を減らすため、当面は給食のおかずの品数も減らすよう求めています。
・音声認識機能で、ユーザーは文字起こしをする手間がかからずに済む。
・手間がかかる料理を趣味的に楽しむ人も少なくない。
②「無駄」の使い方!
・強い工場をつくるためには、生産現場から徹底的に無駄を排除する必要がある。
・もし中止となれば、全てが無駄になるわけではないが、予定された収入が得られない。
・これ以上貴重な時間を無駄にすべきでないと警告した。
・インペラカットは運転時の全揚程と流量の無駄を除くことができるため省エネになる。
・子どもたちの限りある中学校生活の時間を無駄にすることがないようにしたい。
4.「手間」や「無駄」には似た意味の言葉がたくさんある!
「手間」や「無駄」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「手間」と「無駄」の意味の違いと使い分けについてでした。
「手間」は、手数や労力のこと、また、その手数にかかる時間のこと。
「無駄」は、何かをしても、しただけの効果がないこと、役に立たないこと。
よく職場でいわれるのが、「手間を省く」や「無駄を省く」という改善提案。
似ているようですが、「労力をなるべく少なくしよう」というのが「手間を省く」です。
そして、「効果がないことはやめましょう」というのが「無駄を省く」です。