「苦手」と「下手」。
スポーツや、学校の授業などでもよく使う言葉ですよね。
自分は、違いを全く意識することなく、同じ意味として認識していましたが…。
実は、微妙な違いがあるらしい…。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「苦手」と「下手」の意味の違いや使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「苦手」と「下手」の意味の違い!
最初に、「苦手」と「下手」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「下手」とは、技術が劣っていることです。
実はこれ、似ているようで違いますよ。
また「苦手」には、上の意味の他に「嫌い」「嫌な」という意味もあります。
短くまとめると、こういった違いになります。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「苦手」と「下手」の微妙な違いとは!
冒頭で、「苦手」は「得意でないこと」、「下手」は「技術が劣っていること」と説明しました。
実は、この「得意でないこと」と「技術が劣っていること」は、似ているようで違います。
「苦手」の「得意でない」は、物事に対して使いますが、その物事の結果には使いません。
具体的には、下の例文を読んでみてください。
「自分で包帯を巻くのは苦手なんです」
これは、よく使われますよね。
ですが、物事の結果となると下のようになります。
「自分で包帯を巻いたのですが、苦手に巻かれているでしょ」
といった言い方はしません。
というように、ある物事に「苦手」を使いますが、その物事の結果の評価には使わないのですね。
一方の「下手」の「技術が劣る」は、ある物事と、その物事の結果に対して使います。
「自分で包帯を巻くのは下手なんです」
そして、物事の結果に対しては下のとおり。
「自分で包帯を巻いたのですが、下手に巻かれているでしょ」
これも、違和感がありませんよね。
要するに、「得意でない」の「苦手」は、その物事の能力に対する言葉で、結果に対する評価ではありません。
そして「技術が劣る」の「下手」は、その能力と、能力によってつくり出された結果に対する評価の言葉なのです。
②「苦手」には他の意味も!
「苦手」は「得意でないこと」という意味の他に「嫌い」「嫌な」といった意味があります。
この、「得意でない」と「嫌い」「嫌な」というのは、全く別の意味。
これを混同してしまいそうですが、実は別物なのです。
これは、反対語に変換するとよくわかりますよ。
「得意でない」→「得意」「上手」
「嫌い」「嫌な」→「好き」
ということで、「得意」「上手」と「好き」では、やはり違いますよね。
「嫌い」「嫌な」の意味で使う「苦手」は、物事や人物などに対して使います。
「この味付け、自分は苦手だ」
「あの人とは2年一緒に仕事をしたが、どうしても苦手だ」
といった使い方をします。
③「苦手」と「下手」の意味の違いを整理!
それでは、ここで一度「苦手」と「下手」の意味の違いを整理します。
得意でないことで、物事に対して使い、その物事の結果に使わないのが「苦手」。
技術が劣っていることで、物事と、その物事の結果に対して使う言葉が「下手」です。
さらに、「苦手」には、「嫌い」「嫌な」という意味もありますよ。
2.「苦手」と「下手」の辞書での意味!
続いて、辞書による「苦手」と「下手」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「苦手」の辞書での意味!
【苦手】
①扱いにくく、いやな相手。「―のピッチャー」
②自分にとって得意でないこと。また、そのさま。「どうも英語は―だ」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりですね。
意味も、①と②にキチンと分かれているのがポイントです。
②「下手」の辞書での意味!
【下手】
①技術・技量が劣っているさま。また、その人。「字が―だ」↔上手
②不用意・不注意なさま。配慮のないさま。「―に手を出せない」
③中途半端なこと。「―な社員より仕事ができる」
引用元:旺文社国語辞典
意味①は前の項目で説明したとおりです。
そして、解説しませんでしたが意味②は、「下手すると失敗するぞ!」といった使い方をする「下手」。
意味③は、「この地方馬に、下手すりゃGⅠ馬が負けるんじゃね」といった使い方をする「下手」です。
3.「苦手」と「下手」の使い方!
最後に、「苦手」と「下手」の使い方を例文で紹介します。
①「苦手」の使い方!
・絵を描くのは苦手、この下手な絵をみればわかるでしょ。(不得意か嫌い)
・英語は本当に苦手だ。(不得意か嫌い)
・海もダメだしそもそも泳ぐことが苦手。(不得意か嫌い)
・納豆はにおいがどうしても苦手だ。(嫌い)
・虫が苦手な人は多いと思うよ。(嫌い)
上の3つの例文は、「得意でない」と「嫌い」の双方が当てはまります。
どちらの意味なのかは、文章だけでの判別はできません。
②「下手」の使い方!
・絵を描くのは下手、この下手な絵をみればわかるでしょ。
・下手な英語は聞き取るのが難しい。
・泳ぎは下手で海だと浮き輪が必需品。
・序盤に下手に飛ばし過ぎると後半にばててしまう。
・いくら無敗のチャンピオンだって、今回の挑戦者には下手すれば危ないかもよ。
まとめ
以上が、「苦手」と「下手」の意味の違いと使い分けについてでした。
「苦手」は、得意でないことで、物事に対して使い、その物事の結果には使いません。
また、「嫌い」「嫌な」という意味もあるのが「苦手」。
文章や言葉だけで、「得意でない」のか「嫌い」なのかを判別するのは困難です。
「下手」は、技術が劣っていることで、物事と、その物事の結果に対して使う言葉。