漢字の「悠」と「遥」。
全く違う漢字のようで…。
実は共通点があります。
それは、どちらも読み方が「『はるか』である」ということ。
しかも、どちらも「名前」に頻繁に使われる漢字です。
ところでこの「悠」と「遥」、名前として使う場合はどちらを採用すべきか…。
ということで、調べてみました!
本記事では、漢字の「悠」と「遥」の意味や成り立ちについて、わかりやすく解説していきます。
名付けのポイントも解説しましたので、ご期待ください!
1.「悠」と「遥」の違い!意味と漢字の成り立ち!
最初は、辞書に載っている意味と漢字の成り立ちを説明します。
①「悠」の意味と漢字の成り立ち!
「悠」の辞書の意味は以下のとおり。
【悠(ユウ・とおい・はるか)】
①とおい。はるか。「悠遠・悠久」
②ゆったりしている。「悠悠・悠然」
引用元:旺文社国語辞典
「とおい」「はるか」と「ゆったりしている」の、大きく2種類の意味があります。
ちなみに、「悠遠」は「はるかに遠い」という意味で、「悠久」は「果てしなく長く続く」という意味。
そして、「悠悠」は「ゆったりとおちついたさま」という意味で、「悠然」は「物事に動ぜず、ゆったりと落ち着いたさま」という意味です。
次に、漢字「悠」の成り立ちを説明しますね。
「悠」の左端に「にんべん」がありますが、それが「人」を表しています。
その「にんべん」の右横の「縦棒」が「水」で、右端の「又」に似た部分は「人の手」。
そして、一番下の「心」が、そのまま「人の心」のこと。
まとめると、「人が水で体を洗って清めて、心を落ち着かせる」ということです。
そこから、「ゆったりしている」という意味で使われるようになりました。
そして、この「ゆったり」から、「とおい」や「はるか」という意味も加わったのですね。
②「遥」の意味と漢字の成り立ち!
続いて、「遥」です。
【遥(ヨウ・はるか)】
①はるか。はるかに。遠い。距離・年月が遠くへだたる。「遥拝」
②さまよう。気ままに歩きまわる。「逍遥」
引用元:旺文社国語辞典
意味①は「はるか」「遠い」で、「悠」と意味が同じ。
ちなみに、「遥拝」は「遠くから拝む」ことです。
意味②は「さまよう」で、熟語の「逍遥」は「気ままにあちこちを歩き回る」という意味。
そして、漢字「遥」の成り立ちですが…。
「遥」の「しんにょう」は「立ち止まる」や「進む」という意味があります。
「進」「通」「道」「逃」などが「しんにょう」なのは、そういった意味から。
この「遥」の「しんにょう」は、「十字路の中心で立ち止まっている」ことを表しています。
「遥」の右上の「爪」に似た部分は「肉」で、その下の「缶」の部分は「酒などを入れる土器」のこと。
「十字路の中心で立ち止まっている」「肉」「酒などを入れる土器」で、「神に対し肉をお供えして歌う」ということを表しています。
ここから、おそらく「お供えし、永遠の幸せを願う」ということで、「はるか」「遠い」という意味で使われるようになったのではないでしょうか…。
ところで、「遥」は「揺れる(ゆれる)」の「揺」とは異なる漢字なのですが…。
「遥」が「揺」と同じ意味として使われるようになり、「さまよう」という意味が後から加わりました。
③「悠」と「遥」の違い!
「悠」と「遥」の違いをまとめると…。
「はるか」「遠い」という部分は、「悠」「遥」共通の意味です。
ですが、「悠」は「ゆったりしている」という意味に対し…。
「遥」には、「さまよう」という意味がありますが、この部分が最大の違いです。
ただし、「さまよう」という意味は「遥」の持つ本来の意味ではなく、「揺」の「ゆれる」という意味が後から加わったということも覚えておいてください。
2.「悠」と「遥」の名付けのポイント!
最後は、「悠」と「遥」の名付けのポイントをお伝えします。
①「悠」の名付けのポイント!
「悠」は、「人が水で体を洗って清めて、心を落ち着かせる」ということが成り立ちです。
そこから、「常に、ゆったりと心を落ち着かせて対応する人間」や「大らかな人間」という願いが込められのではないでしょうか。
それから、もう一つの意味である「遠い」「はるか」から…。
「スケールの大きい人」「壮大な」「はるか遠い先まで幸せに」という願いも込められます。
名付けにあたっては、「ゆう」「はるか」という読みが使いやすいのではないでしょうか。
具体的には、男の子であれば「悠真(ゆうま)」「悠人(ゆうと)」「悠(ゆう)」が上位人気です。
女の子では、「悠(はるか)」「麻悠(まゆ)」「悠(ゆう)」「悠里(ゆうり)」などが上位人気。
参考にしてください。
②「遥」の名付けのポイント!
「遥」は、「悠」と同じ「遠い」「はるか」という意味があります。
したがって、「悠」と同じように「スケールの大きい人」「壮大な」「はるか遠い先まで幸せに」という願いが込められるのではないでしょうか。
それから、「遥」には「さまよう」という意味があります。
あんまり良い印象を受けない方もいるかもしれませんが…この意味は後から「揺」の「ゆれる」という意味が加わったものですので…。
切り捨てて考えても良いと思います。
「遥」の読み方は「よう」「はるか」ですので、名前には使いやすいですね。
男の子では、「遥大(ようた・はるた・ようだい)」「遥翔(はると)」「遥斗(はると)」が上位人気。
女の子では、「心遥(こはる)」「遥(はるか)」「遥香(はるか)」が人気です。
まとめ
以上が、漢字の「悠」と「遥」の意味の成り立ちについてでした。
「悠」と「遥」は、どちらも「はるか」「遠い」という意味。
この意味から、名付けには「スケールの大きい人」「壮大な」「はるか遠い先まで幸せに」という願いが込められます。
ただし、「悠」は「ゆったりしている」という意味に対し…「遥」は「さまよう」という意味が…。
この部分が違いですね。
「悠」の「ゆったりしている」という意味については、「常に、ゆったりと心を落ち着かせて対応する人間」や「大らかな人間」という願いが込められます。
「遥」の「さまよう」は、無視で良いのではないでしょうか。