「交通」と「通行」。
この2つの言葉を辞書で調べてみたのですが…。
え~…、この内容だと同じ意味じゃん…。
と、なってしまいます。
それほどまぎらわしい「交通」と「通行」。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「交通」と「通行」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「交通」と「通行」の意味の違い!
最初に、「交通」と「通行」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「通行」とは、狭い区域で人や乗り物が通る、また往来することです。
一言にまとめると、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「交通」の意味とは!
「交通」は、地面を広く大局的に見て、その中で人や乗り物が行き交うという意味です。
A地点からB地点までの間を行き交うというものではなく、そういった狭い範囲を取っ払った、さらに広い範囲で大局的に見て「行き交う」というもの。
わかりやすいのが、「交通網」や「交通機関」という言葉。
「交通機関」というのは、様々な移動手段や乗り物のことを指します。
そして、その「交通機関」が網の目のように張り巡らされたものが「交通網」ですね。
様々な移動手段と広い網の目ですので、当然ですがA地点からB地点間といった狭いものではありません。
ちなみに、「交通網」「交通機関」を「通行網」「通行機関」とはいいません。
②「通行」の意味とは!
「通行」は、逆に狭い区域での、「通る」ことや「往来」のことです。
「行き交う」ではなく、「通る」「往来」という言葉を使ったのは、多くの辞書でこの言葉で使分けされているから。
「行き交う」を使っても間違いではないと思うのですが、より狭くより小さくということをイメージしたのではないでしょうか。
前の項目で、「A地点とB地点の間」を例に出しましたが、まさに「通行」はこちらが当てはまります。
よく道路で工事のため「通行止め」となることがありますよね。
これは、A地点とB地点の間で工事が行われることで、「通行止め」となるわけですね。
ちなみに、こういった場合に「交通止め」とはいいません…。
狭い区域で、人や乗り物が往来することが「通行」です。
③「交通」と「通行」の違いを整理!
それでは、ここで一度「交通」と「通行」の違いを整理します。
広い区域を人や乗り物が行き交うことが「交通」。
狭い区域で人や乗り物が通る、また往来するのが「通行」です。
乗り物が「交通」で人が「通行」といった説もあるようですが、正確には違います。
「通行止め」は車も通ることができません。
2.「交通」と「通行」の辞書での意味!
続いて、辞書による「交通」と「通行」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「交通」の辞書での意味!
【交通】
①人や乗り物が行き交うこと。
②人や物品の輸送、通信などの総称。
引用元:旺文社国語辞典
意味①は、「広い」という言葉はありませんが前の項目で説明したとおりですね。
さらに、意味②にあるように物品や情報などの移動に対しても「交通」が使われます。
②「通行」の辞書での意味!
【通行】
①通ること。行き来すること。往来。「―止め」
②世間一般に行われること。「―の貨幣」
引用元:旺文社国語辞典
意味①は、「狭い」という言葉はありませんが前の項目のとおり。
意味②は広く一般社会に行き渡っているものに使われる言葉です。
あまり使われませんが、「世間に通行している説である」といった使い方をします。
3.「交通」と「通行」の使い方!
最後に、「交通」と「通行」の使い方を例文で紹介します。
①「交通」の使い方!
・交通麻痺は大地震や悪天候などが原因で発生します。
・船は海上安全交通法に則り運行されている。
・日本の非営利法人である交通安全協会が存在する。
・交通違反で出費が重なる。
・出張の際は交通費精算を必ず行ってください。
②「通行」の使い方!
・橋を渡ることで通行料金を徴収された。
・高速道路で追い越し車線を走り続けると通行帯違反になる。
・通行禁止道路を把握していなかった。
・江戸時代は通行手形が使われていた。
・警察署で道路通行許可書を受領した。
まとめ
以上が、「交通」と「通行」の意味の違いと使い分けについてでした。
「交通」は、広い区域を人や乗り物が行き交うこと。
「通行」は、狭い区域で人や乗り物が通る、また往来することです。
ただし、辞書には「広い」「狭い」とは記載されていません。
曖昧な部分があるということですね。