「たけのこ」、美味しいですよね。
様々な料理のわき役的な存在ですが、私は昔から大好きです。
煮物や天ぷら、味噌汁の具にしても最高!
ところで、この「たけのこ」ですが…。
ひらがな表記の他に、よく漢字も使われます。
ただし、その漢字の種類がなぜか一つだけではありません…。
たくさんあって、どれを使うべきなのか悩むところ…。
ということで本記事では、「たけのこ」の漢字表記と使い分けについて、その由来とともにわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「たけのこ」を漢字で書くと?
冒頭で触れましたが、「たけのこ」の漢字は一つだけではありません!
漢字は下のとおり、三つもあります!
筍
笋
この「竹の子」「筍」「笋」、全て「たけのこ」を意味する漢字。
当然ですが、読み方も全部「たけのこ」です。
ちなみに、私の辞書で「たけのこ」の漢字をどのように紹介しているのか、調べてみました。
【たけのこ(竹の子・筍)】
①竹の地下茎から出る若芽。食用。「雨後の―(=似たような物事が次々と現れ出ることのたとえ)」
②「竹の子医者」の略。
③「竹の子生活」の略。
引用元:旺文社国語辞典
ということで、漢字は「竹の子」と「筍」が紹介されていました。
これはつまり、辞書によると「竹の子」と「筍」は同じ意味ということです。
ちなみに、意味②の「竹の子医者」とは、やぶ医者よりも技術が劣る医者のこと。
そして、意味③の「竹の子生活」とは、たけのこの皮を一枚一枚剥ぐように家財道具や衣類などを少しずつ売って生活費に充てて生活することです。
それでは、次項ではこの由来について説明しますね。
2.「たけのこ」の漢字の由来と使い分け!
「たけのこ」を漢字で書くと、「竹の子」「筍」「笋」。
それでは、それぞれの漢字の由来と使い分けについて説明していきます。
①「竹の子」の由来と成り立ち!
まず、最もわかりやすい「竹の子」という字から。
そもそも「竹」と、その竹の地下茎からから出る「たけのこ」は、古くから日本に自生していた植物です。
つまり、外国から輸入されたものではなく、貿易が始まる前から日本で食べられていました。
そして、この「竹の子」という漢字ですが、古くから日本で使用されていた漢字です。
由来は、漢字の意味するとおり「竹の子ども」ということ。
竹は、自身の地下茎を地面の中で横方向にのばして、そこからどんどん芽を出しながら竹林をつくっていきます。
極端な話をすると、うっそうと茂る竹林であっても、地下茎がつながったたった一つの個体であることもあり得るということ。
そして、竹の地下茎から出た「芽」が「たけのこ」です。
この竹の新芽は、固い竹とは違い柔らかく食べやすいもの。
ただし、その柔らかく食べやすい時期を過ぎると、あっという間に成長し固くなって食べられなくなります。
この竹の「柔らかい時期」を指す意味として、「竹の子ども」ということで「竹の子」という漢字が当てられました。
②「筍」の由来と成り立ち!
続いて、「筍」。
「筍」という漢字の由来は二つの説があります。
それは、「芽が出た日数」を表す説と、「中国由来の漢字」という二つの説。
a.「芽が出た日数」を表すという説!
「筍」という漢字は、「たけのこ」以外に「しゅん」「じゅん」と読みます。
「筍」の漢字の持つ意味は「たけのこ」しかないのですが…。
「筍」から「たけかんむり」を除いて「旬(しゅん・じゅん)」になると、「10日間」という意味になります。
たとえば、「7月上旬(じょうじゅん)」とか「12月中旬(ちゅうじゅん)」といった使い方をしますよね。
この「7月上旬」というのは「7月1日~7月10日」までのことで、「12月中旬」は「12月11日~12月20日」までという意味。
要するに、芽を出してから10日間までの「たけのこ」のことを「筍」と表記するということ。
この説によれば、芽を出して10日間までが「筍」で、11日目以降のものは「竹の子」と使い分けます。
ただし、この説には「たけのこが食べられるのは、芽が出てから10日間まで」「10日間を過ぎたらたけのこではない」といった異論もあるのも確か。
ですから、10日間までは「筍」で、11日目以降が「竹の子」であるといった使い分けが正しいかどうかは不明。
真相はわかりません。
b.「中国由来の漢字」という説!
中国語で「たけのこ」ことを「竹筍」や「筍」と表記します。
この中国語の「筍」という漢字が、そのまま日本伝わったというのがもう一つの説。
確かに、中国語の漢字と日本語の漢字が偶然一致するというのも考えにくいですよね…。
そういったことから、元々日本にあった「竹の子」という漢字に加え、中国から「筍」という漢字が伝わったといわれています。
この中国語の説であれば、全ての「たけのこ」に対して「筍」の字を使えますので他の漢字と使い分ける必要はありません。
③「笋」の由来と成り立ち!
最後は「笋」。
「笋」という字はほとんど使われませんが、由来については「たけのこの古名」「筍の異体字」「中国由来の漢字」という3種類存在します。
a.「たけのこの古名」説!
「笋」は、「筍」と同じように「しゅん」「じゅん」と読みますが、その他に「たかむな」「たかんな」とも読みます。
実は、この「たかむな」「たかんな」が「たけのこ」の古名であるというのが一つの説。
「たかむな」「たかんな」「たけのこ」と続けて読むと、似ていると言えなくもない…。
ちなみに私の辞書には、「たかむな」「たかんな」ともに存在しませんでした…。
b.「筍の異体字」説!
もう一つが、「笋」は「筍」の異体字であって、それ以上の理由はないという説。
確かに、漢字の「筍」の異体字は「笋」です。
ちなみに、「異体字」とは標準の元の漢字と異なり正式な漢字ではないものの、同じ発音・意味であり、広く使われるようになって定着した漢字のこと。
つまり、元々間違った漢字が広く使われるうちに市民権を得てしまったということ。
こういった異体字は結構たくさんあって、たとえば「幅」の異体字が「巾」です。
かなり省略されていますよね。
「笋」が「筍」より簡単かどうかは疑問ですが、いつの間にか「笋」が使われるようになったということ。
c.「中国由来の漢字」説!
中国語で「たけのこ」ことを「竹筍」や「筍」と表記すると説明しましたが…。
実は、その他に「竹笋」「笋」も中国語で「たけのこ」のこと。
つまり、中国でも「笋」が「筍」と同じ意味として扱われています。
もしかしたら、中国から「筍」という漢字が伝わった時に、同時に「笋」が伝わったのかもしれません。
まとめ
以上が、「たけのこ」の漢字表記とその由来についてでした。
参考にしてください。
「たけのこ」を漢字で書くと、「竹の子」「筍」「笋」。
それぞれの漢字の由来を説明しましたが、もし「筍」の由来が「10日間」という説であるならば…。
「筍」は芽が出てから10日目まで、「竹の子」は11日目以降といった使い分けをしますが、真偽は定かではありません。
もしこれが真実であり、なおかつ「笋」が「筍」の異体字であるならば、「笋」も同様の取り扱いが必要になります…。
ただし、10日を過ぎると「たけのこ」ではないだろう…といった意見もあるわけで…。
真相はわかりませんので、そこまで厳密に使い分ける必要はないでしょう。