「増す」と「増える」。
この2つの言葉、どう考えても同じ意味ですよね…。
と思っていたのですが…。
よくよく調べてみたら、なんと!
「増す」という表現ができるのですが、「増える」とはいわない物事がありました!!
驚きです…。
本記事では、「増す」と「増える」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「増す」と「増える」の意味の違い!
最初に、「増す」と「増える」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「増える」とは、「数」「量」が多くなること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「増す」の意味とは!
「増す」は、「数」「量」「程度」が多くなること。
「数」であれば、「参加希望者が増す」といった使い方をします。
これは、人数が多くなること。
「量」では、「川の水量が増す」といった使い方をします。
これは、そのとおりで水の量が多くなること。
「程度」の場合は、「喜びが増す」といった使い方。
これは、「数」でも「量」でもありません。
「喜び」という「程度」が多くなるということです。
②「増える」の意味とは!
「増える」は、「数」「量」が多くなること。
「数」「量」に関しては、「増す」と全く同じように使うことができます。
ですから、前項の例文の「増す」と「増える」に置き換えることが可能。
「数」の例文の「参加希望者が増す」を、「参加希望者が増える」にしても違和感はありません。
同じように、「量」の「川の水量が増す」を「川の水量が増える」にしてもおかしくないですよね。
ただし「増える」は、「増す」で使うことができた「程度」には使うことができません。
ですから、「喜びが増す」を「喜びが増える」とはいいません。
同じように「暑さが増える」「厳しさが増える」だとおかしいですよね…。
こういった「程度」は、「増す」と表現するのが正しい使い方です。
③「増す」と「増える」の違いを整理!
それでは、ここで一度「増す」と「増える」の違いを整理します。
「数」「量」「程度」が多くなることが「増す」。
「数」「量」が多くなることが「増える」。
「程度」が多くなる場合は「増す」であり、「増える」とはいいません。
2.「増す」と「増える」の辞書での意味!
続いて、辞書による「増す」と「増える」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「増す」の辞書での意味!
【増す】
①数・量・程度などが多くなる。ふえる。「水かさが―」「食欲が―」↔減る
②数・量・程度などが多くする。ふやす。「単価を―」「生産高を―」「人数を―」↔減らす
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「増える」の辞書での意味!
【増える】
①数・量が多くなる。「定員が―」「貯水量が―」↔減る
②繁殖する。「ネズミが―」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
意味②も、つまりは「数」が多くなることです。
3.「増す」と「増える」の使い方!
次に、「増す」と「増える」の使い方を例文で紹介します。
①「増す」の使い方!
・農家の運搬コストなどが増す可能性がある。(数)
・必ずしも固い材料だからといって重さが増すとは限りません。(量)
・各メーカーでの競争が激しさを増す。(程度)
・会話中にテーブルの上に手を乗せると信頼感が増すというのは本当?(程度)
②「増える」の使い方!
・夏休みは、車の利用回数や遠出が増える。(数)
・夕食のタイミングが遅い場合、寝ている間に体重が増える可能性がある。(量)
・感染予防のため、自宅で過ごす時間が増える。(数)
・家族と共に食事をすると、子供の野菜の摂取量が増えるという研究が発表された。(量)
4.「増す」や「増える」には似た意味の言葉がたくさんある!
「増す」や「増える」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「増す」と「増える」の意味の違いと使い分けについてでした。
「増す」は、「数」「量」「程度」が多くなること。
「増える」は、「数」「量」が多くなること。
第3項の例文にもありますが、程度である「激しさ」や「信頼感」は「増す」ものであり、「増える」ものではありませんよ。