「選任」と「選出」。
どちらも「選ぶ」ことだと思うのですが…。
まぎらわしいですよね…。
もしかして、同じ意味か??
確かに、「取締役を選任する」といいますし、「取締役を選出する」でも違和感がありません。
でも、よく考えると「優秀作品を選出する」とはいいますが、「優秀作品を選任する」だと何かが変です…。
ということは、「選任」と「選出」には違いがあるということか…???
そんなわけで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「選任」と「選出」には明確な違いがありました!
本記事では、「選任」と「選出」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「選任」と「選出」の意味の違い!
最初に、「選任」と「選出」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「選出」とは、複数の中から選び出すこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「選任」の意味とは!
「選任」は、複数の中から適した人を選び、任務につかせること。
「選任」の意味のポイントは2つ。
必ず「人を選ぶ」ということと、「任務につかせる」ということです。
まずポイントの1つめは、必ず「人を選ぶ」という部分。
必ず人なので、たとえば「取締役を選任した」といった使い方をします。
そして、人ではない「コンテストの優秀作品を選任する」といった使い方はしません。
それからポイントの2つめは、「任務につかせる」ということ。
これは、ただ単に選ぶだけではなく、選んだ後は「仕事が待っていますよ」ということです。
「取締役を選任した」という場合は、選ばれた後に取締役として重要な職務を行わなくてはいけません。
②「選出」の意味とは!
「選出」は、複数の中から選び出すこと。
「選任」との違いは2つあります。
それは、「人を選ぶ」と「任務につかせる」という条件がないこと。
ということで、ただ単に「選び出す」ということであり、意味が広くなるということです。
ですから、人を選ぶ例文である「取締役を選任した」を、「取締役を選出した」というように「選任」を「選出」に置き換えることが可能。
ただし、「選出」は「任務につかせる」という意味がありませんので、この場合はあくまでも「取締役を選び出した」という意味になります。
そして、おかしな例文として紹介した「コンテストの優秀作品を選任する」を、「コンテストの優秀作品を選出する」とすると違和感がありません。
③「選任」と「選出」の違いを整理!
それでは、ここで一度「選任」と「選出」の違いを整理します。
複数の中から適した人を選び、任務につかせることが「選任」
そして、複数の中から選び出すことが「選出」。
ただ単に選び出すのが「選出」ですが、「選任」の方は選ばれるのは人で、しかも任務が待っています。
2.「選任」と「選出」の辞書での意味!
続いて、辞書による「選任」と「選出」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「選任」の辞書での意味!
【選任】
・適切な人を選んで、その職務につかせること。「会長を―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「選出」の辞書での意味!
【選出】
・多くの人の中から選び出すこと。「役員を―する」
引用元:旺文社国語辞典
この辞書では「人」となっていますが…。
他の辞書では「人」と記載してないものもある他、実際に「人」以外にも使われています。
3.「選任」と「選出」の使い方!
次に、「選任」と「選出」の使い方を例文で紹介します。
①「選任」の使い方!
・下記の執行役員の委嘱先変更と執行役員の選任を決定した。
・整備管理者を選任し、使用者に代わって整備の管理を行う。
・理事会は、マンションの居住者の中から選任される理事で構成されています。
・後任に、企画政策部長の木下氏を選任する人事案に賛成多数で同意した。
②「選出」の使い方!
・5人の中からルーキー・オブ・ザ・イヤーを選出する。
・先月は日本スケート連盟の特別強化選手に選出されている。
・トップギャラリーのアート作品の中から空間に最適なアート作品を選出する。
・こどもエコ絵画コンクールの受賞作品を選出。
4.「選任」や「選出」には似た意味の言葉がたくさんある!
「選任」や「選出」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「選任」と「選出」の意味の違いと使い分けについてでした。
「選任」は、複数の中から適した人を選び、任務につかせること。
「人を選ぶ」「任務につかせる」といった条件があります。
「選出」は、複数の中から選び出すこと。
「選出」はただ単に選び出すことであり、条件はありません。