「主導」と「主体」。
この2つ、「同じ意味では?」と思うくらいまぎらわしいですよね…。
よくスポーツのチームで、「3年生が主導」といったり、「3年生が主体」といったりします…。
これ、どちらも同じこといっているような…。
でも、よく考えたら「主体になる」とはいいますが、「主導になる」とはいいません…。
これは、「主導」と「主体」には何らかの違いがあるということか…??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「主導」と「主体」には確かな違いがありました!
本記事では、「主導」と「主体」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「主導」と「主体」の意味の違い!
最初に、「主導」と「主体」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「主体」とは、物事の中心になっているもののこと。
また、もう1つの「主体」の意味は、自覚や意志に基づいて行動して他に作用を及ぼす存在としての人間のこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「主導」の意味とは!
「主導」は、物事の中心になって他を導くこと。
「主体」は中心になるだけでいいのですが、「主導」は中心になった他に周囲に働きかけて動かさなくてはいけません。
ということで、「主体」と比べて「主導」の方がより難しくなります。
そして、「導くこと」なので「主導になる」という言い方は間違い。
たとえば、「このチームは監督ではなく、3年生が主導し練習に励んでいる」といった使い方。
この時の中心になっているのが、監督ではなく「3年生」。
しかも、この「3年生」が中心になるだけではなく、2年生と1年生を厳しい練習に導いているのです。
「主導」は、3年生という「集団」を対象にすることもあれば、「一個人」にも使うことが可能。
たとえば、「この会議は課長級以上ばかりだが、実質的に会議を主導しているのは○○主任だ」といった使い方です。
これは、会議は行われているのですが、課長が導いているのではなく実務に詳しい○○主任が中心になって、会議全体を動かしているということ。
ただ、中心になるだけではなく、他を導くということが「主導」のポイントです。
②「主体」の意味とは!
「主体」には、2つの意味があります。
まず、1つ目の「主体」の意味は、物事の中心になっているもののこと。
ただ、中心になればそれだけで「主体」です。
そして、「中心になること」なので「主体になる」という言い方も可能。
たとえば、「この新チームは3年生が主体になる」といった使い方をします。
これは、チームの構成人員が3年生ばかりであるということ。
または、人数の割合は同じでも、実力者は3年生ばかりということです。
あくまでも、2年生1年生を導くのではなく、「中心」であるということ。
それから、2つ目の「主体」の意味は、自覚や意志に基づいて行動して他に作用を及ぼす存在としての人間のこと。
これは、1人の人間が他人の意見ではなく、自分の意志で行動し、さらに周囲に影響を及ぼすということです。
周囲に影響を及ぼすこと、これ結構ポイントですよ。
これがないと、「主体」ではなく「自主」になってしまいます。
では、「周囲に及ぼす影響」とは何か?
これは、たとえばその人の行動を見習おうとする意識のこと。
人の行動を見て影響されること、よくありますよね。
たとえば、「主体の○○主任のおかげで、同僚の目の色が変わった」といった使い方。
これが、「主体」です。
ちなみに、これは「主導」の「導く」ことではありませんよ。
それから、この影響は良いことばかりとは限りません…。
中には、影響を受けて悪いことをしてしまう場合もあります…。
③「主導」と「主体」の違いを整理!
それでは、ここで一度「主導」と「主体」の違いを整理します。
物事の中心になって、他を導くことが「主導」。
物事の中心になっているものが「主体」。
また「主体」には、その他に自覚や意志に基づいて行動して他に作用を及ぼす存在としての人という意味があります。
2.「主導」と「主体」の辞書での意味!
続いて、辞書による「主導」と「主体」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「主導」の辞書での意味!
【主導】
・中心になって導くこと。
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「主体」の辞書での意味!
【主体】
①目的・意志を持って何らかの作用・行為を他に及ぼす、その基本になるもの。↔客体
②いろいろなものが集まって一つのものを構成しているとき、その中心となるもの。主要なもの。「高校生を―とするチーム」
③機械などの主要部分。
引用元:旺文社国語辞典
意味①と②は説明どおりの内容です。
意味③は説明しませんでしたが、機械の中の中心部分ということですね。
3.「主導」と「主体」の使い方!
次に、「主導」と「主体」の使い方を例文で紹介します。
①「主導」の使い方!
・米国ミシガン大学が主導する官民研究機関のエムシティの研究に参画する。
・メーカー主導でオールシーズンタイヤ技術の長所と短所を明確に打ち出す。
・エンジン開発を主導したエンジン博士の畑村耕一博士。
・香港民主化デモ「雨傘運動」を主導した学生団体の元幹部が取材に応じた。
②「主体」の使い方!
・面白いことが創造できるように自由に主体的に参加活動できる仕組み。
・加盟単組の主体性を尊重し、様々な課題への対応を実践してきた成果。
・最も重要なのは、主体性の発揮できない部下たちに対する教育だ。
・参加チームは多くがJFL加盟チームか大学やアマチュアクラブが主体になる。
4.「主導」や「主体」には似た意味の言葉がたくさんある!
「主導」や「主体」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
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ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「主導」と「主体」の意味の違いと使い分けについてでした。
「主導」は、物事の中心になって他を導くこと。
「主体」は、物事の中心になっているもののこと。
また、自覚や意志に基づいて行動して、他に作用を及ぼす存在としての人のことも「主体」といいます。
この場合、自覚や意志に基づいて行動するだけでは「主体」とはいいません。
あくまでも、行動した上で他に作用を及ぼしてはじめて「主体」となります。