「認知」と「理解」。
すごくまぎらわしい言葉が2つ。
意味が似ていますよね…。
ですが、「あなたの気持ちは理解できない」とはいいますが、「あなたの気持ちは認知できない」とはいいません…。
これはつまり、ハッキリとした違いがあるということか???
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「認知」と「理解」には明確な違いがありました!
本記事では、「認知」と「理解」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「認知」と「理解」の意味の違い!
最初に、「認知」と「理解」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「理解」とは、物事の意味や内容が正しくわかること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「認知」と「理解」の違いを詳しく!
「認知」ははっきりと認めることで、「理解」は正しくわかること。
「認める」と「わかる」の違いですが、少しわかりにくいですよね…。
まず、「認める」から説明します。
「認知」の「認める」ということは、要は「受け入れる」ということ。
「わかりました。認めましょう」というと、「受け入れた」ということになります。
「認める」という言葉には「気づく」という意味もありますが、「認知」の「認める」は「受け入れる」の方。
そして、「理解」の「わかる」というのは、「把握する」または「知る」こと。
ですから、「わかりました。認めましょう」ではなく、「わかりました」で終わりです。
ちなみに物事の順番は、まず「把握」そして「認める」となりますので、「理解」よりも「認知」の方がハードルが高くなります。
わかりやすくするために、将棋の対局にたとえますね。
その対局で、Aさんが不利な状況になったとします。
「Aは戦況を理解したようだが、まだ認めてはいないようだ」
といった使い方をします。
これは、「戦況は把握したが、自分が劣勢だとは受け入れていない」ということ。
これが「Aは戦況を認知したようだ。次第に表情が暗くなってきた」となると…。
「Aは戦況を不利であると認めて、受け入れた」ということになります。
これが、把握する「理解」と、認める「認知」との違い。
その他にも、「彼の存在を認知する」と「彼の存在を理解する」でも意味が違ってきますよ。
「彼の存在を認知する」ということは、彼を受け入れることなので、基本的に「出て行ってくれ」とは言えません。
ですが、「彼の存在を理解する」の場合は、彼がそこに存在していることを把握しただけなので、その後「出て行け」とも言えますし「居てもいいよ」とも言えます。
②「理解」には他の意味も!
それから、「理解」にはもう一つの意味があります。
それは、相手の気持ちなどをくみとるという意味。
わかりやすくいえば、「察する」ということ。
よく、ハッキリといえない場面で人は「察してくれ!!」と言いますよね。
これはつまり、「自分の気持ちを理解してくれ」という意味。
こういった、人の心の中をくみとること、これが「理解」のもう一つの意味です。
「課長は、あなたの辛い気持ちは理解している」といった使い方をします。
これは、「辛い」という心の中をキチンとくみとっているということ。
ちなみこの意味は、前項で説明した「物事の意味や内容が正しくわかる」ということとは全く違いますよ。
そもそも、「心の中」ですので「物事」ではありません。
③「認知」と「理解」の違いを整理!
それでは、ここで一度「認知」と「理解」の違いを整理します。
物事をはっきりと認めることが「認知」。
受け入れるということです。
物事の意味や内容が正しくわかることが「理解」で、これは「把握する」「知る」ということ。
ただし「理解」には、相手の気持ちなどをくみとるという意味もあります。
2.「認知」と「理解」の辞書での意味!
続いて、辞書による「認知」と「理解」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「認知」の辞書での意味!
【認知】
①物事をはっきり認めること。
②[法]婚姻関係外で生まれた子を、父または母が実子と認めること。これによって法律上の親子関係が成立する。
引用元:旺文社国語辞典
意味が2つありますが、②の方は法律用語です。
意味はどちらも「認める」ことですので、説明どおりですね。
②「理解」の辞書での意味!
【理解】
①物事の意味・内容が正しくわかること。「専攻分野の―を深める」
②相手の気持ち・立場をくみとること。「―ある言葉」「無―」
引用元:旺文社国語辞典
「理解」も意味が2つで、説明したとおりの内容です。
3.「認知」と「理解」の使い方!
次に、「認知」と「理解」の使い方を例文で紹介します。
①「認知」の使い方!
・チェーン規制施行から約1年 正しい規制内容は認知されたのか?
・この負けは大きいが、反省すべき点を認知できるかどうかが鍵。
・大きな目標ではあるが認知して困難に立ち向かう。
・婚外子として生まれた男性が認知を求めて裁判を起こす。
・自分の実の父親は退位したフアン・カルロス1世だと主張し、認知を求める。
②「理解」の使い方!
・何卒ご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。
・今後は必需品が常に不足するということを理解すべきだ。
・「戦時のような考え方で対応しなければならない」と理解を求めた。
・気持ちは理解するが、こちらの立場もわかってほしい。
・野球する人の気持ちを理解できる家族の中で育った。
4.「認知」や「理解」には似た意味の言葉がたくさんある!
「認知」や「理解」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「認知」と「理解」の意味の違いと使い分けについてでした。
「認知」は、物事をはっきりと認めること。
「理解」は、物事の意味や内容が正しくわかること。
受け入れる「認知」と、把握する「理解」の違いです。
ただし「理解」には、相手の気持ちなどをくみとるという意味もあります。