「固執」と「執着」。
この違いって、まぎらわしいですよね…。
もしかして、同じ意味なのでは?と思ってしまいます。
確か…、どちらかが、「ストーカー」に関する事件のニュースで耳にするような…。
「ストーカー事件」に出てくるのは「固執」なのか「執着」なのか、言葉の違いをハッキリさせなくてはいけませんね。
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「ストーカー事件」のもとになるのは、「固執」ではなく「執着」の方でした!
本記事では、「固執」と「執着」の意味の違いと使い分けについて、わかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「固執」と「執着」の意味の違い!
最初に、「固執」と「執着」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「執着」とは、ある物事に心をとらわれて、そこから離れられないこと。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「固執」の意味とは!
「固執」は、自分の主張をかたく曲げないこと。
つまりは、自分の意見、自分の考えというものに強くとらわれて、かたく譲らないということ。
ちなみに、「執着」は「ある物事にとらわれる」ということですが、「固執」は「自分の主張にとらわれる」ということがいえます。
何に「とらわれる」か、の違いですね。
たとえば、「リーダーはA氏がふさわしい」という自説を持った人がいたとしましょう。
周囲の多くは、「B氏がふさわしい」という意見を持っていました。
周囲の多くは、「リーダーはA氏がふさわしい」と思っている人に対し「B氏の力量」を伝え説得します。
いくら説得しても、「自分は、リーダーはA氏以外にはいない」という意見を曲げません。
こういった、自分の主張を曲げないこと、これが「固執」です。
とらわれるのはあくまでも自分の主張であり、人物や物にとらわれることではありません。
②「執着」の意味とは!
「執着」は、ある物事に心をとらわれて、そこから離れられないこと。
「固執」は「自分の主張」にとらわれますが、「執着」は「物事」にとらわれます。
しかも、「固執」が主張を曲げないように、「執着」もその物事から離れることができません。
たとえば、「お金に執着する」といった使い方をします。
つまり、お金にとらわれて離れることができず、それ以外の物事の多くを犠牲にしてしまうということ。
「お金が全てだ!」という人、結構いるかもしれません…。
それから、「彼女にふられたあとも、その彼女に執着してSNSを監視する」といった使い方も。
この場合は、元カノにとらわれて離れることができないということです。
度を超えるとちょっと怖いですよね…。
ですから、冒頭の「ストーカー事件」の場合は「執着」の方が正解ということになります。
ということで、ある物事にとらわれて、離れられないのが「執着」です。
ただし、「物事」ということは、「自分の主張」も一つの「物事」。
したがって、「固執」を「執着」に置き換えることが可能な場合もあります。
③「固執」と「執着」の違いを整理!
それでは、ここで一度「固執」と「執着」の違いを整理します。
自分の主張をかたく曲げないのが「固執」。
ある物事に心をとらわれて、そこから離れられないのが「執着」。
自説にとらわれるのが「固執」で、物事にとらわれるのが「執着」です。
2.「固執」と「執着」の辞書での意味!
続いて、辞書による「固執」と「執着」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「固執」の辞書での意味!
【固執】
・かたく自説を主張して曲げないこと。「自分の立場に―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「執着」の辞書での意味!
【執着】
・深く思いをかけてなかなか断念できないこと。しゅうじゃく。「―心」
引用元:旺文社国語辞典
こちらも、説明どおりですね。
3.「固執」と「執着」の使い方!
次に、「固執」と「執着」の使い方を例文で紹介します。
①「固執」の使い方!
・専門家会議が「接触8割減」というスローガンに固執しているのは正当か?
・経営者は孤独で考えが固執しまいがちなのか?
・国際情勢にも目をつぶり従来の解釈に固執するのは政治家としての責任の放棄だ。
・異なる意見があることを認め、自分の意見に固執せず、柔軟に。
②「執着」の使い方!
・数字への執着があり、前を走る車のナンバーの数字四つを四則計算してしまう。
・何もやる気がなくて、着るものや食べるものもまったく執着しない。
・執着心を相手への愛情と勘違いしているケースが本当に多いと思う。
・孫への執着が強すぎる姑への対応を考える。
4.「固執」や「執着」には似た意味の言葉がたくさんある!
「固執」や「執着」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「固執」と「執着」の意味の違いと使い分けについてでした。
「固執」は、自分の主張をかたく曲げないこと。
「執着」は、ある物事に心をとらわれて、そこから離れられないこと。
「自分の主張」も「物事」の一つですので、場合によっては「固執」を「執着」に置き換えることができます。
たとえば、「自分の意見に固執する」を「自分の意見に執着する」としても、違和感はありません。