「全体」と「全部」。
どうみても、同じ意味に思えてしまうのですが…。
でも、よく考えると…。
「全部でいくつ入るの?」とは言いますが…。
「全体でいくつ入るの?」となると、なんとなく違和感が…。
これはつまり、同じような意味にみえて、何かが違うということか…??
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
実は、「全体」と「全部」にはある明確な違いがありました!
本記事では、「全体」と「全部」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「全体」と「全部」の意味の違い!
まずは、「全体」と「全部」の意味の違いを端的にお伝えします。
「全部」とは、全ての部分を含むひとまとまりの物事のことで、バラバラの物事として捉えた表現。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「全体」と「全部」の違いを詳しく!
「全体」と「全部」は、どちらも「全ての部分を含むひとまとまりの物事のこと」であり同じ意味です。
ただし、その「ひとまとまりの物事」をどういった捉え方をするかに違いがあります。
そして、「全体」の方は「一つの物事」、「全部」の方は「バラバラの物事」、といった捉え方。
わかりやすくするために、ボクシングの「リング」にたとえますね。
最初に「全体」から。
たとえば、「フットワークで、リング全体を使った戦いをする」といった場合。
これはつまり、この「リング全体」というのは、一つのリングのこと。
一つのリングの、隅から隅まで動き回って戦うという意味です。
「全体」→「一つの物事」→「一つのリング」
続いて、「全部」の方。
たとえば、「この会場にはリングが全部でいくつ設営できるのか?」という使い方もありますが。
この場合は、複数の「バラバラのリング」の総数を意味しています。
要するに、この会場に最大でどれくらいの数のリングが設営できるのか、ということ。
「全部」→「バラバラの物事」→「バラバラのリング」
この例文をそれぞれ、「全体」と「全部」を入れ替えてみましょう。
「フットワークで、リング全部を使った戦いをする」
「この会場にはリングが全体でいくつ設営できるのか?」
ということで、上の例文は意味がつうじないわけではありませんが、若干違和感を覚えます。
下の方は、完全におかしいですよね…。
②「全体」と「全部」には別の意味もある!
「全体」と「全部」には、それぞれ「全ての部分を含むひとまとまりの物事のこと」以外の意味もあります。
まず、「全体」の方から。
ちなみに、「全体」には3種類の意味がありますが、これは全て「全体」の独自の意味です。
「全体」には、「全身」「体のすべて」という意味があります。
「全て」の「からだ」で、「全体」。
それから「全体」には、「もともと」「元来」という意味もあります。
「全体あなたが悪い」といった使い方をしますが、これは「もともとあなたが悪い」という意味。
最後の「全体」の意味は、「一体全体」という意味。
普通は、「一体全体、どうなっているんだ!」といいますが、これを「全体、どうなっているんだ!」といった使い方をします。
ということで、「全体」には前項で解説した意味の他に3つの意味があることを覚えておいてください。
続いて、「全部」。
「全部」には、「ひとそろいになっている書物の全て」という意味があります。
これは、「全部」の独自の意味であり、「書物」限定。
たとえば、1巻から12巻で完結した本があったとしましょう。
1巻から12巻で12冊ありますが、これが全てそろうと「全部」といいます。
全巻あるからといって、決してそれを「全体」とはいいません。
③「全体」と「全部」の違いを整理!
それでは、ここで一度「全体」と「全部」の違いを整理します。
「全体」と「全部」は、どちらも全ての部分を含むひとまとまりの物事のこと。
ただし、その物事を「一つの物事」として捉えるのが「全体」。
そして、その物事を「バラバラの物事」として捉えるのが「全部」です。
2.「全体」と「全部」の辞書での意味!
続いて、辞書による「全体」と「全部」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「全体」の辞書での意味!
【全体】
①(名)全部。すべての部分を含むひとまとまりの物事。「クラス―」↔部分
②(名)体の全部。
③(副)もともと。元来。「―君が悪い」
④(副)(「一体全体」の略で、強い疑問の気持ちを表す)そもそも。「―どういうことだ」
引用元:旺文社国語辞典
意味が4つ、内容も説明どおりですね。
②「全部」の辞書での意味!
【全部】
①物事のすべて。すべての部分を含む全体。副詞的にも用いる。「話を―聞く」「―君の責任だ」↔一部
②ひとそろいになっている書物などのすべて。
引用元:旺文社国語辞典
内容は説明したとおり、意味も2種類です。
3.「全体」と「全部」の使い方!
次に、「全体」と「全部」の使い方を例文で紹介します。
①「全体」の使い方!
・この画法は、まずはキャンバス全体に色を乗せてしまうのがポイントだ。
・超満員の球場全体が応援の音楽に合わせてタオルを頭上でクルクル回した。
・オフィス全体をより快適な遠隔会議空間にする。
・冷暖房の気流を部屋全体に広げる。
②「全部」の使い方!
・キャラクターのシール、全ての種類を全部集めた。
・箱のサイズは全部で3種類ある。
・どれにしようか悩んだ結果、結局全部買ってしまった。
・自分の意見は全部拒否されたため、話し合いは紛糾した。
4.「全体」や「全部」には似た意味の言葉がたくさんある!
「全体」や「全部」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「全体」と「全部」の意味の違いと使い分けについてでした。
全ての部分を含むひとまとまりの物事のことで、一つの物事として捉えた表現なのが「全体」。
そして、全ての部分を含むひとまとまりの物事のことで、バラバラの物事として捉えた表現なのが「全部」。
同じ意味でありながら、指し示す形に違いがあります。