「識別」と「区別」。
「何が違う?」と言いたくなるぐらい似た意味の言葉です…。
確かに、「インコの雌雄を識別する」ともいいますし、「インコの雌雄を区別する」ともいいますよね…。
しかし!しかし、この「インコの雌雄」ですが、「識別」と「区別」ではやる行為が違うらしい…???
ということで、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
本記事では、「識別」と「区別」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「識別」と「区別」の意味の違い!
まずは、「識別」と「区別」の意味の違いを端的にお伝えします。
「区別」とは、物事の違いのこと、また、その違いに基づいて分けること。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「識別」の意味とは!
「識別」は、物事の違いを見分けること。
「識別」は「見分けること」であり、「区別」のような「違い」や「分けること」ではありません。
「見分ける」と「分ける」は、似ているようで全く違いますよ。
たとえば、以下のような例文があります。
「インコの雌雄を識別する」
これは、「インコの雌雄を見分ける」に置き換えることができます。
実際の行動は、インコをよく見て雄なのか雌なのかということを判断するということ。
ですから、「このインコは雌だ!」と判断して終わり、これが「識別」です。
これが、「見分ける」ではなく「分ける」になると以下のとおり。
「インコの雌雄を区別する」
つまり、「インコの雌雄を分ける」になります。
この場合の行動は、雄のインコと雌のインコをそれぞれ別々のカゴに入れること。
これが「分ける」、つまり「区別」です。
ですから、インコの雌雄を別々のカゴに分けるためには、厳密にはまずインコの雌雄を「識別」してから「区別」するということになります。
②「区別」の意味とは!
「区別」は、物事の違いのこと、また、その違いに基づいて分けること。
最初に、「違いに基づいて分けること」という意味から解説します。
たとえば、スーパーなどで果物を売る場合、バラバラには売りません。
たとえば、以下の例文のとおり。
「ミカンとリンゴを区別して値段をつける」
つまり、ミカンとリンゴを分けて、それぞれ別々の値段をつけるということ。
これも、厳密にはミカンとリンゴを「識別」してから「区別」するということになります。
ただし、ミカンとリンゴは一目で違いがわかりますので、「識別」のレベルではないかもしれません。
さらに、「区別」には「物事の違い」という意味もあります。
たとえば、「善と悪の区別」といった使い方。
この場合は、「違いに基づいて分けること」というよりは、シンプルに「物事の違い」のことです。
ただし、この意味で「インコは雌雄の区別がつかない」といった場合「識別」と非常に似た意味になります。
正確には、この「区別」は「違いがわからない」で、「識別」は「違いを見分けることができない」ということ。
「区別」には2つの意味があることを覚えておいてください。
③「識別」と「区別」の違いを整理!
それでは、ここで一度「識別」と「区別」の違いを整理します。
物事の違いを見分けることが「識別」。
違いに基づいて分けることが「区別」。
ただし、「区別」には物事の違いという意味もあります。
2.「識別」と「区別」の辞書での意味!
続いて、辞書による「識別」と「区別」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「識別」の辞書での意味!
【識別】
・物事の性質・種類などを見分けること。「牛の個体を―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりの内容です。
②「区別」の辞書での意味!
【区別】
・二つ以上の物事の間に認められる違い。また、その違いに基づいて分けること。「―がつかない」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりですね。
3.「識別」と「区別」の使い方!
次に、「識別」と「区別」の使い方を例文で紹介します。
①「識別」の使い方!
・高速道路では冬用タイヤを装着しているかを自動で識別可能なところもある。
・ビデオ判定により本塁打のフェア、ファウルの識別をはっきりさせる。
・がん患者と健常者を99%の精度で識別することに成功。
・マスクやゴーグルなどで顔を覆い個人の識別ができないようにすることを禁じた。
②「区別」の使い方!
・税金は直接税と間接税の二つに区別されています。
・野菜と果物を区別するための根拠は何か?
・現在のJRAの規定では平地と障害が明確に区別されている。
・「スペシャルティコーヒー」と「プレミアムコーヒー」を区別する。
4.「識別」や「区別」には似た意味の言葉がたくさんある!
「識別」や「区別」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「識別」と「区別」の意味の違いと使い分けについてでした。
「識別」は、物事の違いを見分けること。
「区別」は、物事の違いのこと、また、その違いに基づいて分けること。
「見分ける」のが「識別」で、「分ける」のが「区別」です。