紛らわしい同音異義語の中に、「定型」と「定形」があります…。
この「定型」と「定形」の違いを、一言で表すならば以下のとおり。
わかりやすくすると…。
「定型」とは、一定のタイプ・手本・パターン・様式のこと。
「定形」とは、一定のフォーム・姿・形状のこと。
簡単に説明するとこういったことです。
これで、大まかにはご理解いただけたかと思いますが…。
本編では、「定型」と「定形」の意味の違いをさらに詳しく、わかりやすく解説していきます。
「定型」と「定形」を使った熟語の具体例も紹介しますので、ご期待ください!
1.「定型」と「定形」の意味の違いを詳しく!
冒頭でも触れましたが、「定型」と「定形」の違いは以下のとおりです。
「型」は、「努力型」「文型」「型番」など、そのもの自体の形状がないものが多く…。
「形」は、「地形」「髪形」「形跡」など、形状が目に見えるものが多いです。
つまり、「定型」は一定のタイプ・手本・パターン・様式のことで、「定形」は一定のフォーム・姿・形状のこと。
それではこの「定型」と「定形」、双方の言葉を使った熟語には実際どういったものがあるのか…?
その具体例を紹介します。
言葉の意味の理解度を深めるには、熟語とその意味を理解するのが近道ですよ。
①「定型」を含んだ熟語の具体例!
「定型文」
・手紙などに多く使う決まった言い回しのこと。テンプレートともいう。
「定型表現」
・決まった言い回しのことで、文字の他に発言内容も含みます。
「定型約款」
・不特定多数に対し、同じ内容の取り引きを行う際に使用する約款のこと。
「定型業務」
・作業の内容が、あるパターンに決まっている業務のこと。
「定型詩」
・俳句・短歌・ソネットなど、詩句の数や配列順序に一定の決まりがある詩のこと。
②「定形」を含んだ熟語の具体例!
「定形郵便物」
・形状・サイズ・重さなどが、郵便法で定められた条件に合う郵便物のこと。
「定形動詞」
・英文法などで、人称や数などにより形が決定される動詞の形態。たとえば不定詞の「be」に対し、定形動詞は「am」「are」「is」など。
「仮定形」
・口語の活用形の一つで、まだ成立しない条件を仮定し、または条件の成り立つものと仮定する形。たとえば、「行けば」の「行け」や「読めば」の「読め」の部分。
「不定形」
・形などが揃っていないもののこと。また、液体などのように形が一定ではないもののこと。
「無定形」
・意味は「不定形」と同じ。
③「定型」と「定形」、熟語の違いのポイント!
「定型」と「定形」を使った熟語の具体例を紹介させていただきましたが…。
「定型」がつく言葉の方は、一定のタイプ・手本・パターン・様式となっており…。
「定形」のつく言葉は、一定のフォーム・姿・形状となっていることがご理解いただけるかと思います。
ただし、「定型文」「定型詩」と「定形動詞」「仮定形」との違いがやや紛らわしいですよね…。
ですが、「定型文」「定型詩」はあくまでも「お手本」や「詩句の数」のことを指しており、決まった「語」を指しているのではありません。
それに対して「定形動詞」「仮定形」は、「am」「are」「行け」「読め」など「実際の語」を指しています。
2.辞書による「定型」と「定形」の意味!
「定型」と「定形」の意味が、辞書ではどうなっているのか…?
調べてみました。
【定型】
・一定の型。決まった型。「無-」
引用元:旺文社国語辞典
【定形】
・一定の形。目的などによって決められた形。
引用元:旺文社国語辞典
一定の「型」と「形」となっていますので…。
「型」と「形」の意味も調べてみましたよ。
【型】
①規範になる形。手本。伝統的な形式。「柔道の-」
②決まりきった形式。ひながた。
③同形のものをつくり出すもととなる、金属や土・紙でつくられたもの。鋳型・型紙など。
④特徴をよく示している形態。典型。タイプ。
引用元:旺文社国語辞典
【形】
①そのものとしてあるべきかたち。
②跡形。跡。「足の-が付く」
③決まりきった形式。「-にとらわれない表現」
④抵当。担保。「土地を-に金を借りる」
引用元:旺文社国語辞典
同じような意味で紛らわしいところもありますが…。
だいたいが、「型」の方はタイプ・手本・パターン・様式的な意味で、「形」の方はフォーム・姿・形状的な意味になっています。
それから、辞書に「使い分け」の解説もありました。
【使い分け「形・型」】
・「形」は、かたどられて物にあらわれた姿、また、物のかたちのような意で、「手形」「花形」「屋形船」「跡形もなく」などと使われる。
・「型」は、ものをつくりあげるときのもとになるかたち、一定の形式、また特徴を示す形式の意で、「鋳型」「型紙」「ひな型」「血液型」「大型」「新型」「型破り」などと使われる。ただし、実際にはその使い分けのはっきりしないものもある。
引用元:旺文社国語辞典
こちらの「使い分け」の方は、ほぼ説明したとおりですね。
まとめ
以上が、「定型」と「定形」の意味の違いについてでした。
「定型」は一定の型のことで、「定形」は一定の形のこと。
つまり、「定型」は一定のタイプ・手本・パターン・様式であり、「定形」は一定のフォーム・姿・形状のことです。
実際の形状がなく目に見えない場合が多いのが「定型」で…。
実物の形状が目に見えることが多いのが「定形」です。