「令和」の「令」が“つくり”である漢字はたくさんありますが…。
その中でも、よく名前に使われる漢字が「玲」と「怜」。
しかもこの2つ、よく似てますね…。
問題は、このよく似た漢字のどちらを名前に用いるべきか…ということ。
たとえば、「みれい」という名前の場合、「美玲」と「美怜」のどっちがいいのか…。
男の子であれば、「れいと」を「玲人」にすべきか「怜人」にすべきか…。
ということで、そのお悩みを解消すべく2つの漢字の意味や成り立ちを徹底的に調査しました!
本記事では、「玲」と「怜」の意味の違いと、漢字の成り立ちをわかりやすく解説していきます。
後半は、名付けのポイントも紹介しますので、ご期待ください!
1.「玲」と「怜」の意味の違いと漢字の成り立ち!
最初は、「意味」の違いと漢字の「成り立ち」について、それぞれ説明します。
①「玲」の意味と漢字の成り立ち!
まずは、「玲」の意味から。
【玲(れい)】
・玉の鳴る音。「玲瓏」
引用元:旺文社国語辞典
意味は、「玉の鳴る音」ということで、なんとも…。
情緒のある、すごく素敵な意味ですね。
そして、この「玉」ですが、「宝石」の意味があります。
ちなみに、熟語の例として「玲瓏(れいろう)」が紹介されていますが…。
「玲瓏」の意味は、以下のとおりです。
【玲瓏(れいろう)】
①すきとおるように美しく輝くさま。
②金属や玉が触れ合って、きれいな澄んだ音で鳴るさま。また、そのような人の声の形容。「-と響く声」
引用元:旺文社国語辞典
これもまた、素敵な意味…。
美しい光と澄んだ音が今にも聞こえてきそうな…そんな雰囲気が伝わります…。
「玲」も「玲瓏」も素晴らしい意味ですね…。
そして、漢字の「玲」の成り立ちについてですが…。
「玲」の左側「王へん」の横棒は、「玉(宝石)」を意味しています。
横棒は3本ありますので、玉が3つ連なっているということ。
そして、「おうへん」の縦棒は「ひも」です。
つまり、3つの玉に穴をあけ、その玉をひもで貫き通しているということ。
真珠のネックレスのようですね…。
余談ですが、「王へん」ではなく漢字の「王」単体になると成り立ちが異なります。
「王」は、武器である「まさかり」の象形文字であって、玉とは関係ありません。
それから、「玲」の右側の「令」ですが…。
上の「人」と「一」が「冠」で、下が「ひざまずく人」。
合わせると、「冠をかぶった人が、ひざまずいて神のお告げを聞く」様子を表現しています。
そういったことで、「令」は「命じる」や「規則」という意味や、「よい」「立派」といった良い意味もある漢字。
話は「令」から「玲」に戻しますね。
「ひもを通した3つの玉」と「冠をかぶった人が、ひざまずいて神のお告げを聞く」で…。
「しずかに神のお告げを聞こうとしたら、3つの玉がぶつかり合う澄んだ音がしている」ということです。
ちなみに「玲」には、「令」の漢字にある「命じる」「規則」といった意味はありません。
②「怜」の意味と漢字の成り立ち!
次に「怜」。
【怜(れい・さとい)】
①さとい。かしこい。「怜悧」
②あわれむ。
引用元:旺文社国語辞典
意味①の「さとい」とは、普通は「聡い」と書いて「かしこい」という意味。
「かしこい」はそのまま、「頭の働きが鋭い」「知能的に優れている」ということです。
意味②の「あわれむ」は、「同情する」「ふびんに思う」ということ。
ちなみに、意味①の熟語の例にある「怜悧」の意味は下のとおりです。
【怜悧(れいり)】
・かしこいさま。りこうなさま。
引用元:旺文社国語辞典
「怜」単独の意味と同じです。
意味に加え、漢字の形状や言葉の響きも含めて、「怜悧」ってすごく良い言葉ですね。
それから、「怜」の漢字の成り立ちですが…。
「怜」の左側は「りっしんべん」。
この「りっしんべん」は、漢字で「立心偏」と書くとおり「立つ」「心の」「偏」、つまり「心」を意味しています。
そもそも「心」という漢字は、心臓をかたどった象形文字なのですね。
また、「怜」の右側の「令」は、「玲」の項で説明したとおり「冠をかぶった人が、ひざまずいて神のお告げを聞く」ということ。
「心」と「冠をかぶった人が、ひざまずいて神のお告げを聞く」で、「お告げを、素直に受け入れる」ということです。
「お告げを、素直に受け入れる」から、「心が澄んでいる」となり…。
そこから、「頭の働きが鋭い」「知能的に優れている」という意味で使われるようになりました。
余談ですが、「怜」は「あわれむ」という意味もあります。
この「あわれむ」とい意味は、後から加わった意味で、それには理由が…。
「あわれ」を漢字で「憐れ」と書きますが、この「憐」の読みは「れん」。
そして、実は「怜」にも「れん」という読みがあるのですよ。
その関係で、同じ「れん」と読む「怜」と「憐」が混同されるようになり、「あわれ」という意味が後付けされる形で加わったといわれています。
2.「玲」と「怜」の名付けのポイント!
続いて、「玲」と「怜」の名付けのポイントを紹介します。
①「玲」の名付けのポイント!
「玲」の意味は「玉の鳴る音」。
ですから、「玉(宝石)のような美しさ」「透きとおるような美しさ」といった願いが込められます。
それから「音」を意味する漢字ですので、「音楽家になってほしい」とか…。
あと、ご両親が「音楽好き」であれば、「音楽に親しんでほしい」といった願いでも良いのではないでしょうか。
「玲」の読み方は「れい」。
ですから、名付けにはそのまま「れい」をあてますが、「れい」の「れ」だけあてる場合もあります。
具体的には、男の子だと「玲(れい)」「玲音(れお・れおん)」など。
女の子では、「玲奈(れな)」「玲麗(れいか)」などがあります。
ちなみに、女の子の「玲奈(れな)」は2021年のランキング81位の人気の名前ですよ。
②「怜」の名付けのポイント!
「怜」の場合、「玲」の「おうへん」が「りっしんべん」に変わります。
つまり、「玉(宝石)」→「心」へ。
そして、「怜」の意味は「かしこい」です。
そこから、もちろん「かしこい人間へ」といった願いが。
あと、「怜」の漢字の成り立ちである「心が澄んでいる」という部分も、すごく良い意味ですね。
そこから、「心が澄んでいる人間」「純真な人」「素直な人」といった願いが込められます。
また、「怜」には「あわれむ」という意味もあり…。
これは、「憐」にちなんだ後付けの意味なので、無視しても構いませんが…。
「あわれむ」から、「他人を思いやる」「困った人に寄り添う」といった願いを込めるのもいいかも。
「怜」の読みは「れい」「さとい」です。
名前にする時は、「れい」の他に「れ」、「さとい」から「さと」「さとし」などの読みを使うケースが多いようですよ。
具体例ですが、男の子だと「怜(れい)」「怜志(さとし)」などがあります。
この「怜(れい)」は、2021年のランキング41位。
女の子だと、「澄怜(すみれ)」「怜子(れいこ)」などがあります。
まとめ
以上が、「玲」と「怜」の意味の違いと、漢字の成り立ちなどについてでした。
「玲」の意味は「玉の鳴る音」。
「ひもを通した3つの玉」と「冠をかぶった人が、ひざまずいて神のお告げを聞く」で…。
「しずかに神のお告げを聞こうとしたら、3つの玉がぶつかり合う澄んだ音がしている」ということが漢字の成り立ちです。
そして、「怜」の意味は「かしこい」。
漢字の成り立ちは、「心」と「冠をかぶった人が、ひざまずいて神のお告げを聞く」で、「お告げを、素直に受け入れる」です。