「引退」と「退職」。
似てはいますが…。
スポーツ選手をやめる時は「引退」、会社をやめる時は「退職」のような…。
これ…、違う…??
何となくまぎらわしいので、この2つの言葉の意味を徹底的に分析してみました!
やはり、「引退」と「退職」には明確な違いがありつつ…。
なんと!なんと、共通の意味もありました!
ということで、本記事では「引退」と「退職」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「引退」と「退職」の意味の違い!
まずは、「引退」と「退職」の意味の違いを端的にお伝えします。
「退職」とは、雇用されている立場の人がその職をやめること。
一言であらわすと、こういった違いです。
それでは、さらに詳しく紐解いていきますね。
①「引退」の意味とは!
「引退」は、職や地位など、現役からしりぞくこと。
「退職」は「雇用関係」があるかどうかがポイントになりますが、「引退」の方は「雇用の有無」は関係ありません。
たとえば、「10年間も勤めた会社をやめる」といった場合、普通は「退職」といいますがが「引退」といっても間違いではありません。
ただし、定年によって「退職」し、同じ会社に嘱託として再雇用してもらう場合は、「一旦退職した」といっても間違いではありませんが、「一旦引退した」とはいいません。
「引退」は、基本的に復帰を前提とせずにしりぞくこと。
だからといって、「引退」した人が現役に復帰できないということではありません。
人間の気持ちは時間の流れとともに変化しますので、現役に戻りたくなる人もいるでしょう。
「引退」してから、その後現役復帰する人はたくさんいます。
また、雇用関係がない例としては、「マラソン選手としての現役を引退します」といったものがあります。
この場合は、「今後はマラソン競技に出場しない」ということであり、雇用関係を解消するという意味ではありません。
これが、「マラソン選手としての現役を退職します」だとおかしいですよね…。
それから、「引退」は「職」以外に「地位」にも使います。
たとえば、「サッカーの日本代表は引退し、Jリーグに専念します」といったもの。
この場合、「プロサッカー選手」という職をやめるわけではありません。
あくまでも、「サッカー日本代表」という地位からしりぞくということです。
②「退職」の意味とは!
「退職」は、雇用されている立場の人がその職をやめること。
ポイントは、「雇用されている立場の人」限定であることです。
ですから、自営業の方や会社の経営者は「退職」とはいいません。
また、経営者側である会社の「役員」も「退職」ではありませんよ。
役員の場合は、「辞職」です。
それから、「職をやめる」ことが「退職」なのですが…。
「クビになって会社をやめる場合は退職とはいわない」といった説があるようです…。
ですがこれ、正確には間違い。
クビで会社をやめる、つまり解雇されることを「会社都合退職」といいます。
ちなみに、自分の都合でやめる場合は「自己都合退職」。
「会社都合退職」も「自己都合退職」「定年退職」も、同じ「退職」であることに違いはありません。
③「引退」と「退職」の違いを整理!
それでは、ここで一度「引退」と「退職」の意味の違いを整理します。
職や地位など、現役からしりぞくことが「引退」。
雇用されている立場の人が、その職をやめることが「退職」。
雇用されている人が、その会社を辞めることを「退職」と言いますが、これを「引退」と言っても間違いではありません。
2.「引退」と「退職」の辞書での意味!
続いて、辞書による「引退」と「退職」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「引退」の辞書での意味!
【引退】
・職や地位をしりぞくこと。現役からしりぞくこと。「―試合」「―相撲」「現役を―する」
引用元:旺文社国語辞典
説明したとおりの内容です。
②「退職」の辞書での意味!
【退職】
・勤めていた職をやめること。「―金」「定年で―する」↔就職
引用元:旺文社国語辞典
説明どおりですね。
3.「引退」と「退職」の使い方!
最後に、「引退」と「退職」の使い方を例文で紹介します。
①「引退」の使い方!
・1979年限りで1度F1から引退していたが、その後F1復帰を決断。
・現役を引退し親方として部屋を継ぐことになりました。
・政界引退を検討しているとした週刊誌報道を否定した。
・サラリーマンは引退時期が60歳からさらに10年以上先に延びるのか?
②「退職」の使い方!
・定年退職後、働かないことについて8割以上が「不安」と回答。
・脅しをかけつつ、最終的には労働者に退職届を出させようとすることも多い。
・従業員が退職を申し出る際に使用する提出書類。
・50歳以上の社員を対象とする早期退職制度を設ける。
まとめ
以上が、「引退」と「退職」の意味の違いと使い分けについてでした。
「引退」は、職や地位など、現役からしりぞくこと。
「退職」は、雇用されている立場の人がその職をやめること。
どちらも「しりぞく」ことにかわりありませんが、「退職」は「雇用されている人」に限ります。