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世論は「よろん」「せろん」どちらが正しい?違いや使い分けを徹底解説!

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「世論」という言葉、あなたは「よろん」と読みますか?それとも「せろん」?ニュースを見ていて「あれ、今の読み方どっち?」と疑問に思ったことがある方は多いのではないでしょうか。

実は「世論」には2通りの読み方があり、意味や使い方に微妙な違いがあるんです。

この記事では、「よろん」と「せろん」の違い、どちらが正しいのか、使い分けは必要なのかなど、日本語の奥深い世界に迫ります。

「わかりやすく」をモットーに、楽しく学べる内容になっています。ぜひ最後までお楽しみください。

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目次

世論は「よろん」「せろん」どちらが正しい?違いや使い分けは必要?

実は「よろん」「せろん」、それぞれに違いや使い分けがあるんです。ここではその疑問を一つずつ丁寧に解説していきます。

「よろん」と「せろん」、「世論」の正しい読み方はどっち?

「世論」という言葉、ニュースや新聞などでよく目にする言葉ですが、読み方で迷ったことはありませんか?「よろん」と読む人もいれば、「せろん」と読む人もいます。結論から言うと、どちらの読み方も間違いではありません。ただし、厳密にいうと「よろん」と「せろん」には若干ニュアンスの違いがあるため、場面に応じた使い分けがされることもあります。

一般的に、「よろん」は「民衆の意見」「大衆の気持ち」といったニュアンスで使われることが多く、「せろん」は「社会的な論調」「メディアを通じて形成される意見」などの意味で使われることがあります。これはあくまで傾向であり、両者の境界は非常に曖昧です。

また、現在の国語辞典や漢字辞典では、多くの場合「世論」の読み方として「よろん/せろん」の両方を併記しており、どちらか一方を「誤り」とすることはありません。つまり、厳密に言えば、どちらも正しい読み方なのです。

では、どうして混乱が生じるのか?それは、次の項目で詳しく見ていきましょう。

「よろん」と「せろん」、読み方による意味の違いはある?

「よろん」と「せろん」は、どちらも「世間の人々の意見」という意味を持ちますが、文脈によって微妙にニュアンスが異なることがあります。

  • よろん(輿論):国民全体の意見、あるいは民主主義の原則に基づいた「市民の声」としての世論を指すことが多い。

  • せろん(世論):世の中の論調、あるいはメディアや時流に影響された「空気」的な意味合いを含むことがある。

たとえば、「世論調査」は「よろんちょうさ」と読むのが一般的です。この場合、「国民の意見を調査する」という意味合いが強いため、「よろん」が選ばれているわけです。一方で、「世論に押される」のような場合は、「せろんにおされる」と読むこともあり、「社会全体のムードに流される」といったニュアンスが出ます。

つまり、厳密な使い分けというよりも、ニュアンスの違いに敏感な人が文脈に応じて選ぶ表現とも言えます。

「よろん」と「せろん」、公的機関・辞書の見解は?

文化庁や国語辞典の見解を見てみましょう。文化庁の「国語に関する世論調査」(これも「よろんちょうさ」ですね)では、「世論」の読みについての質問項目が過去にありました。

その調査では、「よろん」と読む人の方が多数派であることが分かっています。辞書的には、「世論(よろん/せろん)」と併記されているケースがほとんどで、特に誤りとして扱われる読み方は存在しません

代表的な国語辞典である『広辞苑』では、「世論(よろん・せろん)」の両方を掲載し、意味もほぼ同じものとして扱っています。つまり、公式にはどちらの読み方も容認されているというわけです。

「よろん」と「せろん」、実際の使い分けはどうされている?

実務や日常会話、報道などでの使い分けを見てみると、以下のような傾向があります。

使用場面 読み方 備考
世論調査 よろん 一般的・多数派
世論に影響を与える せろん ニュアンス重視
政治的な議論 よろん 正式な語感
テレビ報道 よろん or せろん メディアによる違いあり
学術論文 よろん 学術的には「よろん」が多い

ただしこれはあくまで「傾向」であり、絶対的なルールではありません。多くの人が無意識のうちに文脈に応じて使い分けているのが現状です。

「よろん」と「せろん」、誤用として指摘されることはある?

基本的には、どちらの読み方をしても誤用とはされません。ただし、TPOをわきまえない使い方をすると、まれに「その読み方、違和感あるな」と思われることはあるかもしれません。

たとえば、ニュース番組の中で「世論調査」を「せろんちょうさ」と言うと、やや不自然に聞こえる可能性があります。逆に、「世論(せろん)に流される」という表現を「よろんに流される」とすると、少し硬すぎる印象を与えるかもしれません。

まとめると、「よろん」も「せろん」も正しい読み方ですが、文脈と場面によって選ばれる傾向があるということです。言い換えれば、読み方にも「空気を読む」力が求められる日本語らしい一面があるとも言えます。

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世論は「よろん」か「せろん」か、NHK他大手メディアはどっちを使う?

テレビや新聞など、私たちが日ごろ見ているメディアでは「世論」をどう読んでいるのでしょうか?NHKをはじめとする各メディアの方針や実際の使われ方を調べてみました。

「よろん」と「せろん」、NHKの公式な読み方の方針は?

NHKでは、放送用語に関して厳密なルールが定められています。NHK放送文化研究所が公開している「NHKことばのハンドブック」によれば、「世論」は原則として「よろん」と読むことが推奨されています

実際にNHKのアナウンサーやキャスターがニュース番組などで「世論」という言葉を使う際、ほとんどの場合で「よろん」と発音しています。たとえば「世論調査」や「世論の動向」といった表現においては、一貫して「よろん」が用いられています。

これは視聴者への分かりやすさや混乱を避ける意図も含まれており、NHKとしての統一方針と見ることができます。

「よろん」と「せろん」、民放テレビ局や新聞各社はどうしている?

NHKは「よろん」と読む方針で統一していますが、民放や新聞社はどうでしょうか?実は、民放テレビ局や新聞各社も、基本的には「よろん」を採用している場合が多いのが現状です。

たとえば、日本テレビ、TBS、フジテレビ、テレビ朝日といった大手キー局のニュース番組でも、「世論調査」や「世論の動向」などは「よろん」と読まれています。また、朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、産経新聞などの紙媒体でも、音声としては確認しづらいものの、記事内の語感や使用例を見る限り「よろん」が基準とされていると考えられます。

一方で、ラジオや報道番組でごくまれに「せろん」という読み方が使われるケースもあり、完全な統一があるわけではありません。しかし、その場合でも、特別な意味合いや文脈上の理由がある場合が多く、「せろん」が使われることで何かしらのニュアンスを強調しているケースが見られます。

全体としては、視聴者・読者にとって分かりやすく、広く認識されている「よろん」が主流であり、業界内でも標準的な読み方として定着していると言えるでしょう。

「よろん」と「せろん」、ウェブメディアやSNSの傾向は?

テレビや新聞と異なり、ウェブメディアやSNSでは、より自由な表現がなされる傾向があります。ブログやYouTube、X(旧Twitter)などの個人メディアでは、「よろん」「せろん」どちらも混在しており、発信者の好みやニュアンス重視で読み方が選ばれていることが多いです。

特に、言葉に敏感な発信者(言語系YouTuberや評論家など)の中には、あえて「せろん」と読むことで、世間の“空気”や“ムード”といった意味合いを強調する使い方をしている人もいます。

Google検索結果においても、「世論 よろん」と「世論 せろん」の検索ボリュームを比べると、「よろん」がやや優勢ですが、「せろん」も一定数検索されており、両方の読み方に対する関心が高いことが伺えます。

つまり、ウェブの世界では、「どっちが正しいか」よりも「どう伝えたいか」「どう感じてほしいか」に重きを置いている傾向が強いと言えるでしょう。

「よろん」と「せろん」、ニュース原稿の発音マニュアルに注目

ニュース原稿を読むアナウンサーには、正確な発音と読み方が求められます。そのため、テレビ局やラジオ局には専用の発音マニュアルが存在しています。NHKの「ことばのハンドブック」や、共同通信社の「記者ハンドブック」などが代表的な例です。

これらの資料では、「世論=よろん」が原則として記載されており、「せろん」は特別な文脈がない限り使用しない方針となっています。また、原稿チェックの際には、読み間違いがないようにフリガナをふるのが一般的です。

このように、放送の現場では、読み方のブレを避けるために「よろん」に統一されていることが多く、ニュースとしての信頼性を保つためにも重要な取り組みとなっています。

「よろん」と「せろん」、報道現場での実際の発音・使い分け例

実際に報道現場で「世論」がどう使われているかを見てみると、多くの報道番組では「よろん」が用いられています。たとえば、首相支持率に関する報道では、「最新の世論調査では、内閣支持率が○○%となりました」といった形で、「よろんちょうさ」と発音されています。

一方で、ある特定の文脈や強調をしたい場面で、あえて「せろん」という読み方がされることもあります。例えば、政治的圧力やプロパガンダ的な雰囲気を表現したいとき、「せろんに誘導された意見」という表現で「せろん」が用いられることがあります。

これは、「せろん」という読み方が、より抽象的・批判的なニュアンスを含むことがあるためで、言葉選びに敏感な記者やコメンテーターが意図的に使い分けている例と言えるでしょう。

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世論は「よろん」か「せろん」か、なぜ読み方が2種類になったのか、その歴史は?

なぜ同じ「世論」という言葉に「よろん」と「せろん」という読み方があるのでしょうか?実はその背景には、日本語の歴史やメディアの変化が関係しているんです。

「世論」の読み方が「よろん」と「せろん」に分かれた理由とは?

「世論」という言葉に2つの読み方があるのは、実は漢字の由来や日本語としての歴史に理由があります。そもそも、「世論」は中国語由来の言葉で、日本では明治時代以降に広まったとされています。

もともと「輿論(よろん)」という言葉が先にあり、それが日本語として定着していく中で、「世論(せろん)」という読み方も並行して使われるようになりました。「輿」は「よ」と読み、「世」とは意味が似ていたため、やがて「世論」も「よろん」と読まれるようになったのです。

一方で、「世」の漢字には「せ」と読む訓読み的な響きがあるため、自然と「せろん」という読み方も市民の間で使われるようになり、現在のように二つの読み方が混在する状態が生まれたのです。

「よろん」と「せろん」、戦後のメディアと読み方の変遷

戦後の日本では、新聞・ラジオ・テレビといったマスメディアの発展により、言葉の使われ方や発音が全国に広まりやすくなりました。特に「世論」という言葉は、政治や社会を語る上で欠かせない語彙となり、報道を通じて頻繁に使われるようになります。

当初、新聞などの紙媒体では読み方が記載されないため、読者によって「よろん」と読む人もいれば「せろん」と読む人もいたことでしょう。しかし、ラジオやテレビの登場によって「音としての読み方」が明確に聞こえる時代になり、各メディアは読み方を統一する必要に迫られます。

このとき、NHKをはじめとする報道機関は、「輿論(よろん)」という語源をもとに、「よろん」を公式な読み方として採用。この方針が教育や出版にも影響を与え、徐々に「よろん」が標準的な読み方として広がっていきました。

一方で、「せろん」も完全には消えず、特に評論や社会批評の中では、「せろんに流される」といった表現で今なお使われています。つまり、戦後のメディアの影響で「よろん」が定着したものの、「せろん」も一定の文脈で生き残ったということになります。

「よろん」と「せろん」、漢字文化と音読み・訓読みの関係

「世論」が「よろん」とも「せろん」とも読まれる背景には、日本語の漢字の音読み・訓読みの複雑さがあります。

「世」は音読みで「セ」「セイ」、訓読みで「よ」と読みますが、「よろん」の「よ」は、厳密には「輿論(よろん)」の「輿」から来ています。一方、「世論」の「せろん」は、「世(セ)」と「論(ロン)」を素直に音読みした形です。

日本語では、同じ熟語でも複数の読み方が許容されることが珍しくなく、「重複(じゅうふく/ちょうふく)」「稀有(けう/まれう)」などの例もあります。

こうした読みの揺れは、漢字の導入当初から日本語と中国語の音が完全に一致しなかったために生じたもので、「世論」もまさにその代表的な例と言えるでしょう。

「よろん」と「せろん」、明治以降の言葉の変化と教育の影響

明治時代以降、日本は近代国家としての制度や教育体制を整備する中で、漢語(中国由来の言葉)を多く取り入れました。「世論」もそのひとつで、政治制度や民主主義の考え方とともに定着していきます。

当時の日本語教育では、文語体と口語体が混在し、熟語の読み方も教師の裁量に任されている部分がありました。そのため、地域や教育者によって「よろん」「せろん」のどちらが教えられるかに差があったと考えられます。

戦後、国語教育が標準化される中で、「世論=よろん」という読みが教科書などでも広まっていきました。ただし、完全に「せろん」が否定されたわけではなく、「文化的表現の多様性」として残されてきたのです。

つまり、教育の影響で「よろん」が一般的になった一方で、「せろん」も歴史的背景を持つ正当な読み方として生き続けているのです。

「よろん」と「せろん」、現代における読み方の混在の背景

今日でも「世論」に2通りの読み方があることに違和感を覚える人は多いかもしれません。しかし、SNSやブログ、YouTubeなど、誰でも自由に発信できる時代だからこそ、言葉の多様性が再評価されつつあるとも言えます。

たとえば、社会評論や政治的風刺を行うクリエイターの中には、あえて「せろん」と読むことで、「世間の空気に流される意見」といった意味合いを強調し、聞き手にインパクトを与えることを狙っています。

また、若い世代の中には「せろん」という読み方を知らない人もいますが、音声メディアやボイス系SNSの普及により、「せろん」という発音に触れる機会も増えています。

つまり、現代において「よろん」と「せろん」が混在しているのは、言葉の自由と表現の多様性を象徴する現象とも言えるのです。正しい/間違いではなく、「どう伝えたいか」「どう響かせたいか」が読み方の選択に影響を与えているといえるでしょう。

 

「輿論」と「世論」と「与論」の違いは?

似たような言葉に「輿論」や「与論」というものもありますが、意味はまったく異なります。ここではそれぞれの言葉の違いや使い方を分かりやすく解説します。

「輿論」と「世論」はどう違う?

「輿論(よろん)」と「世論(よろん/せろん)」は、見た目も意味もよく似ていますが、厳密には別の言葉です。

「輿論」の「輿」は、もともと「輿=民衆・大衆」を意味する漢字で、中国語でも「大衆の意見」という意味で使われます。日本でも明治時代には、「輿論」が政治的な場面でよく使われていました。

一方、「世論」はその後に登場し、「世=社会、世の中」を構成要素として、「社会全体の意見・風潮」という意味で使われるようになります。

つまり、

  • 輿論:民衆の声・市民の意見(democratic opinion)

  • 世論:社会全体の論調・空気(public opinion)

という使い分けができます。

現在では「輿論」という言葉はあまり見かけませんが、言葉としての重みや歴史的背景を踏まえると、実は「よろん」と読む際は「輿論」の意味を意識していることが多いのです。

「与論」ってどういう意味?

「与論(よろん)」という言葉も「よろん」と読まれるため、「輿論」「世論」と混同されがちですが、全く意味が異なる言葉です。

まず、「与論」は一般的にはあまり日常で使われない言葉ですが、主に以下のような2つの意味があります。

  1. 思想や意見を交わすこと。議論や討論。
     「意見を与える(与)」「論じる(論)」という漢字の組み合わせから、「お互いに意見を交換する」「話し合って論じる」といった意味を持ちます。たとえば、学問の世界や哲学の文脈で使われることがあるやや硬めの表現です。

  2. 地名としての「与論」
     鹿児島県の南端にある「与論島(よろんとう)」の「与論」も、同じく「よろん」と読みます。これは完全に地名であり、世論・輿論とは無関係の単語です。

そのため、「世論」「輿論」と「与論」を文脈なく混同してしまうと意味が通じなくなることがあります。「世論調査」と言いたい場面で「与論調査」と書くと、完全に誤用となってしまいますので注意が必要です。

また、「与論」と「世論」の違いを簡単に整理すると以下の通りです。

語句 読み 意味 用途
世論 よろん/せろん 社会全体の意見や風潮 政治・報道など広く使用
輿論 よろん 民衆の意見、大衆の声 歴史的、学術的な文脈で使われる
与論 よろん 意見の交換、または地名(与論島) 学術用語または地名

特に文章を書く際には、意味の違いを明確に理解して使い分けることが重要です。

「世論」「輿論」「与論」、政治・報道での用語の使い分け

政治や報道の現場では、「世論」「輿論」「与論」を正しく使い分けることが求められます。なぜなら、それぞれが持つニュアンスが微妙に異なり、言葉の選び方ひとつで伝えたい印象が変わるからです。

たとえば、政治家が「世論に耳を傾ける」と言えば、「国民全体の意見」を尊重するイメージを持たせます。一方で「輿論に耳を傾ける」と言えば、より民主主義的で古典的な市民の声を重視する硬派な印象を与えます。

また、報道で「せろんが高まっている」と言えば、社会的な空気や風潮、メディアによる論調など、やや距離を置いた視点での表現になります。言い換えれば、「世間の圧力」「空気に流された論調」を表す際には「せろん」がよく使われるのです。

これに対し、「与論」は政治報道にはほとんど登場しません。もし使われるとしても、「意見交換の場としての与論の機会を設ける」といった、議論の場面に限られます。

つまり、報道や政治の場では、「世論」「輿論」「与論」は全く異なる文脈で使い分けられているということです。混乱を避けるためにも、メディア関係者やライターは特に注意が必要なポイントと言えるでしょう。

歴史的文脈での「輿論」「世論」の変化

歴史的に見ると、日本における「輿論」と「世論」の使い方には明確な時代背景があります。

江戸時代末期から明治時代にかけて、日本では民主主義の思想や自由民権運動が高まり、民衆の意見や声が政治に反映されるべきだという考えが広まっていきました。このとき、「輿論(よろん)」という言葉が使われ、民衆の意思や声を表す言葉として広く浸透していきます。

しかし、大正から昭和にかけて、より中立的でソフトな印象を持つ「世論(せろん/よろん)」が使われるようになり、特に報道の世界でこの語が定着していきました。

戦後はNHKなどが「よろん」を標準としたことにより、「輿論」という言葉は徐々に使われなくなっていきましたが、今でも学術的な文献や古典的な政治用語としては見かけることがあります。

つまり、「輿論」はより歴史的・政治的文脈での言葉、「世論」は現代の一般的な言葉として使われているという使い分けがあるのです。

「世論」「輿論」「与論」、実際の文章での使い方比較

それでは、実際の文章で「世論」「輿論」「与論」がどのように使い分けられているのか、例文で比較してみましょう。

用語 例文
世論 世論調査の結果、内閣支持率は前回より5ポイント下がった。
輿論 輿論の力によって、明治政府は国会開設の方針を余儀なくされた。
与論 与論を重ねることで、より良い社会制度を築いていく必要がある。

このように、同じ「よろん」という発音でも使われる漢字が異なると意味も用法も変わってくるため、正しく理解することが大切です。

 

日本語の読み方ってそんなに自由でいいの?言葉の揺れと正しさを考える

「よろん」と「せろん」のように、日本語には読み方が複数ある言葉がたくさんあります。では、言葉の読み方ってどこまで自由でいいのでしょうか?正しさとのバランスについて考えます。

日本語は「揺れ」を許容する言語?

「世論」の「よろん」と「せろん」のように、日本語には「揺れ(バリエーション)」を許容する特徴があります。
同じ漢字でも読み方が複数ある、言い回しやアクセントが地域や世代で異なる、というのはよくある話です。

たとえば、「重複(ちょうふく/じゅうふく)」、「依存(いぞん/いそん)」、「早急(さっきゅう/そうきゅう)」など、どちらの読みも辞書に載っていて、文脈や世代によって使い分けられている単語は多数存在します。

これは日本語が、漢字・ひらがな・カタカナという異なる文字体系を組み合わせ、さらに外来語や中国語由来の語彙を柔軟に取り入れてきた歴史によるものです。
つまり、日本語には「正解は一つじゃない」という、ある種の「おおらかさ」があるのです。

この文化があるからこそ、「世論」も「よろん」「せろん」どちらも使われているのだと言えるでしょう。

正しさと通じやすさのバランス

とはいえ、何でも「自由」で良いわけではありません。言葉の役割は「正しく伝わること」です。

もし話し手が「せろん」と言っても、聞き手がその意味を理解できなければ、コミュニケーションは成立しません。
逆に、「よろん」と言えば多くの人に通じやすくなる場面もあります。

このように、言葉には「通じやすさ(実用性)」と「正しさ(規範性)」の2つの側面があり、場面や相手に応じてどちらを優先するかを判断することが求められるのです。

特にメディアや教育現場では、誤解が生じないように「統一された読み方」を採用する傾向にあります。一方、創作や批評の分野では、あえてマイナーな読みを使うことで独自性や意図を伝えるケースもあります

このように、「言葉の使い方」は常に「相手」と「場面」を意識する必要があるのです。

国語審議会や文化庁の方針とは?

日本語の標準化については、文化庁や国語審議会がガイドラインを出しています。
文化庁が行う「国語に関する世論調査」では、国民の言葉に対する認識や使い方を定期的に調べ、その結果が今後の言語政策に反映されます。

たとえば、「重複=ちょうふく」が正式だったが、「じゅうふく」も一般に使われているとして容認される、というような例があります。

「世論」に関しても、文化庁は公式に「よろん/せろん、どちらも誤りではない」と明記しています。つまり、国家機関としても両方を「共に正しい」として受け入れているということになります。

このような柔軟な姿勢は、言葉が時代と共に変化するものであることを前提としている証拠でもあります。
つまり、言葉は「生きている」存在であり、常に変わり続けるということなのです。

学校教育ではどっちを教えてる?

小学校・中学校・高校での国語教育では、「世論=よろん」が基本として教えられています。教科書や授業中の読み方でも「よろん」が使われることがほとんどで、「せろん」という読み方には触れられないケースが多いです。

これは、教育現場では「読み方を統一することで混乱を防ぐ」という方針があるためで、子どもたちが混乱しないように標準的な読み方を優先して教えるという配慮の表れです。

しかし、高校以降の国語や現代文の授業では、「同じ漢字でも複数の読み方がある」という日本語特有の性質について学ぶ機会があり、「世論」のように2通りの読みがある言葉も取り上げられることがあります。

また、国語辞典を引けば「世論(よろん/せろん)」と記載されているため、辞書を使う習慣をつけることで自然と「揺れ」を理解する教育も可能です。

今後どう変わっていく?言葉の未来

「よろん」と「せろん」、今後どちらの読み方が主流になっていくのでしょうか?

現時点では「よろん」が主流であることに変わりはありませんが、言葉は時代と共に移り変わるものです。
たとえば、SNSやYouTubeなど、個人が自由に発信できる時代では、「言葉の揺れ」や「独自の表現」がより可視化されています。

「せろん」という読み方に新しい意味づけがされたり、社会現象として注目されたりすれば、将来的にそちらの方が一般化する可能性もゼロではありません。

また、AI音声や自動読み上げ機能が日常に浸透していく中で、機械的な読み上げでは「よろん」一択になる可能性もあります。一方で、音声合成技術が進化すれば、文脈によって「せろん」を使い分けるようになるかもしれません。

つまり、「世論」の読み方の未来は、私たち一人ひとりの使い方にかかっているのです。

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世論は「よろ ん」「せろん」どちらが正しい?まとめ!

「世論」は「よろん」とも「せろん」とも読まれる不思議な日本語。
どちらが正しいか?という問いには、「どちらも正しい」という答えが返ってきます。

  • NHKや新聞などでは「よろん」が主流

  • 文脈やニュアンスを重視して「せろん」が使われることもある

  • 「輿論」や「与論」との違いにも注意が必要

  • 日本語は「揺れ」を許容する言語である

  • 正しさよりも「伝わりやすさ」「文脈」が重視される時代へ

言葉の世界には「唯一絶対の正解」があるわけではありません。
だからこそ、言葉の使い方には「相手を思う心」と「伝える工夫」が必要なのです。

「世論」と向き合うことで、日本語の奥深さと面白さに少しでも触れていただけたら幸いです。

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