故事成語である「李下に冠を正さず」。
「実がなっているスモモの木の下で冠を直さない」という意味です。
つまりは、スモモの木の下で手を上げてしまうと、スモモの実を盗もうとしているように疑われることから、冠が曲がっていてもそこでは正すべきではないということ。
要するに、他人から誤解を受けるような行動は慎むべきだという意味です。
では、この「李下に冠を正さず」、どのような場面でどのように使うべきなのか?
ということで、「李下に冠を正さず」の使い方を例文で紹介していきます。
特に、簡単な短文でわかりやすく紹介しますので、ご期待ください。
1.故事成語「李下に冠を正さず」の例文を簡単な短文で!
・この落札した業者の社長は、確か町長の同級生ではないですか?「李下に冠を正さず」で、公正な入札で決まったことをあらかじめ説明した方が良いのではないでしょうか?
・公務員なのだから、取引業者とゴルフに行くのは割り勘であっても「李下に冠を正さず」でやめたほうがいいと思うよ。
・テストの最中にポケットに手を入れるのは、「李下に冠を正さず」でするべきではなかった。不正を疑われても仕方がないと思う。
・親だからといって未成年者の息子にお酒を買いに行かせるのはどうだろう?販売する側だって疑うでしょう。「李下に冠を正さず」でやめるべきだと思うけど。
・テストの前日に生徒のお前がここにいるのはまずいだろう。この倉庫には問題用紙があるのだぞ。やましいことがなくても、こんなところに居たら「李下に冠を正さず」で疑われても仕方がないだろう。
・私が電車に乗る時は、必ず両手を上げて双方の手でつり革をつかむようにしている。「李下に冠を正さず」で、こうすることで痴漢冤罪を防止できる。
・そんな恰好で他人の家を除いていたら完全に不審者だろう。警察の捜査とはいえ「李下に冠を正さず」でもう少し場所をわきまえろ。
2.故事成語「李下に冠を正さず」の由来とは!
「李下に冠を正さず」の由来は、中国の古典詩「古楽府」。
「古楽府」の中の「君子行」という一説です。
君子防未然、不處嫌疑間。瓜田不納履、李下不正冠。
とあります。
書き下し文にしたのが下の文章です。
君子は未然に防ぎ、嫌疑の間におらず。瓜田に履を納れず、李下に冠を正さず。
意味は、以下のとおり。
立派な人物は他人から疑われるようなことは未然に防ぎ、疑われるような行動をしないものである。
ウリの畑で、しゃがんで靴を履き直せばウリ泥棒にと疑われるし、スモモの木の下で手を上げて冠を直そうとすればスモモ泥棒に疑われる。
ということで、「李下に冠を正さず」が「他人から誤解を受けるような行動は慎むべき」という意味で使われるようになりました。
まとめ
以上が、「李下に冠を正さず」の例文についてでした。
参考にしていただければ幸いです。
「李下に冠を正さず」と同じ意味の故事成語で、「瓜田に履を納れず」があります。
これは、前項でも説明しましたが、ウリ畑で靴を履き直してはいけないという意味。
あと、少し意味に違いがあるのですが、「君子危うきに近寄らず」というものがあります。
「疑われる行動」と「危険な場所」の違いですね。