「忍耐」と「辛抱」。
どちらも辛さが伝わってくる言葉ですが…。
意味が似ていて、まぎらわしいです…。
といいますか、違いはあるのだろうか…??
でも、「もう少しの辛抱だ!」とはいいますが、「もう少しの忍耐だ!」って聞いたことがないような…。
これはつまり、「忍耐」と「辛抱」には微妙な違いがあるということか…??
ということで、この二つの言葉の意味を徹底的に分析してみましたよ!
やはり、「忍耐」と「辛抱」には確かな違いがありました!
本記事では、「忍耐」と「辛抱」の意味の違いと使い分けについて、具体例でわかりやすく解説していきます。
かなり深掘りしましたので、ご期待ください!
1.「忍耐」と「辛抱」の意味の違い!
最初に、「忍耐」と「辛抱」の意味の違いを簡潔にお伝えします。
「辛抱」とは、自分の将来のために辛さや苦しさを我慢すること。
一言で表現すると、こういった違いです。
それでは、さらに詳細に紐解いていきますね。
①「辛抱」の意味とは!
「辛抱」は、自分の将来のために辛さや苦しさを我慢すること。
「辛さや苦しさを我慢する」という部分は、「忍耐」と共通しています。
ですが、「辛抱」の意味の特徴は「自分の将来のために」我慢するということ。
要するに、「なぜ我慢するのか?」という理由があるということです。
たとえば、「もう少しの辛抱だ!」といった使い方をします。
この場合は、何らかの理由で辛く苦しいことがあってそれを我慢しているのですが、もう少しでそれが終わり楽になるという意味。
つまり、「未来は楽になる」という「自分の将来のために」我慢しています。
それから、「ダイエットのため大好きな甘いものを食べずに、2年間も辛抱してきた」といった使い方をします。
これは、甘いものを我慢しているのですが、ただ単に我慢しているのではありません。
ダイエットという目標を掲げた「自分の将来のために」、我慢しているのですね。
ということで、「自分の将来のため」という我慢する理由があるのが「辛抱」です。
②「忍耐」の意味とは!
「辛抱」と「忍耐」の違いを明確にするために、「忍耐」の意味を二つに分けて説明します。
「忍耐」の意味は、自分にふりかかった辛さや苦しさを我慢するという意味と、怒りや悲しみなどの感情をこらえるという意味の二つ。
まず、一つ目の「忍耐」の意味である「自分にふりかかった辛さや苦しさを我慢すること」から解説します。
「辛さや苦しさを我慢する」という意味は、「辛抱」との共通点。
ですが「忍耐」の方は、「辛抱」にはあった「なぜ我慢するのか?」という理由が明確ではありません。
辛さや苦しさを「ただ我慢する」、これが「忍耐」です。
ですから、「忍耐」で我慢した後に、何があるのか?何か良いことがあるのか?といったものも特に定義はないということ。
たとえば、「単純な作業は飽きてしまうので、忍耐力が必要だ」といった使い方をします。
この場合は、単純作業には辛さや苦しさを我慢する力を要するという意味。
単に我慢する力のことを指しており、我慢した先に何かあるのか?ということを言っているのではありません。
ちなみに、この例文を「辛抱」に置き換えて「単純な作業は飽きてしまうので、辛抱しながら続ける力が必要だ」とした場合。
使い方自体に、違和感はありません。
ただしこの例文の場合、その「辛抱の先に何かがある」といった、将来が見え隠れします。
それから、二つ目の「忍耐」の意味である「怒りや悲しみなどの感情をこらえること」の方。
これは、ふつふつとわき出る「怒り」「悲しみ」「憎しみ」といった感情をジッとこらえるという意味です。
この意味は、「辛抱」にはありません。
たとえば、「あれだけ酷いことを言われても、怒りをこらえている彼の忍耐力には驚く」といった使い方をします。
この場合は、「怒りをこらえる力」という意味。
ちなみに、「辛抱」は辛さや苦しさを我慢するのですが、「辛さ」や「苦しさ」はどう考えても「怒りの感情」にはつながりませんよね…。
ですから、そもそも「怒りを辛抱する」とはいいません。
③「忍耐」と「辛抱」の違いを整理!
それでは、ここで一度「忍耐」と「辛抱」の違いを整理します。
辛さや苦しさを我慢するという意味は、「忍耐」と「辛抱」の共通点。
ただし、ただ辛さや苦しさを我慢するのが「忍耐」で、自分の将来のために辛さや苦しさを我慢するのが「辛抱」です。
それから、「忍耐」の独自の意味として、怒りや悲しみなどの感情をこらえるという意味があります。
2.「忍耐」と「辛抱」の辞書での意味!
続いて、辞書による「忍耐」と「辛抱」の意味がどうなっているのか確認していきます。
①「忍耐」の辞書での意味!
【忍耐】
・がまんすること。辛抱強く耐えしのぶこと。「―力」「―するにも限度がある」
引用元:旺文社国語辞典
「我慢すること」となっていますので、説明どおりです。
「怒りをこらえる」ということは、自分の辞書には記載されていません。
ただし、インターネット上の辞書には記載されています。
②「辛抱」の辞書での意味!
【辛抱】
・つらいことをじっとがまんすること。たえしのぶこと。「もう少しの―だ」
引用元:旺文社国語辞典
この内容だと、「忍耐」との違いがわかりません…。
我慢は我慢なのですが、その我慢の先に何があるのか?ということがポイントです。
3.「忍耐」と「辛抱」の使い方!
次に、「忍耐」と「辛抱」の使い方を例文で紹介します。
①「忍耐」の使い方!
・彼の経験と忍耐力は決勝戦で報われました。
・一部では規制解除の動きも出てきているが、人々の忍耐も限界に近づいている。
・かつては忍耐強さを誇っていたはずの英国人が変わってしまったのか?
・怒りがあるのに忍耐強く我慢しながらイライラしている人もいます。
②「辛抱」の使い方!
・人々の努力と辛抱が報われようやく流行のピークを超え、市内の経済再開まであと一歩。
・1カ月だけの辛抱だと多くの人が思っている気がする。
・今を辛抱すれば、全国で早く元の生活に戻れるのではないか。
・辛いことも辛抱し続ければいずれは実る。
4.「忍耐」や「辛抱」には似た意味の言葉がたくさんある!
「忍耐」や「辛抱」には似た意味の言葉がたくさんありますよ。
下の関連記事も、覗いてみてください。
ぜひ、参考にしてみてくださいね。
まとめ
以上が、「忍耐」と「辛抱」の意味の違いと使い分けについてでした。
「忍耐」は、自分にふりかかった辛さや苦しさを我慢すること、また、怒りや悲しみなどの感情をこらえること。
「辛抱」は、自分の将来のために辛さや苦しさを我慢すること。
「辛抱」の方は、将来があるのでポジティブな意味で使われることが多いです。