よく似た漢字の「依」と「衣」。
どちらも読み方は「い」で…。
しかも、名前にもよく使われる漢字です。
たとえば、「まい」「あおい」の「い」の部分に「依」や「衣」が当てられるのですが…
そこで悩むところが、たとえば「まい」の場合「舞依」とすべきか「舞衣」とすべきか…。
「あおい」の場合も、「藍依」と「藍衣」のどっちがいいのか…。
ということで、この2つの漢字の意味などを徹底的に調べてみました。
本記事では、「依」と「衣」の意味の違いや、漢字の成り立ちなどについてわかりやすく解説していきます。
名付けのポイントもお伝えしますので、ご期待ください!
1.「依」と「衣」の違い!意味と成り立ちは?
それでは、それぞれの「意味」と漢字の「成り立ち」を紹介します。
①「依」の辞書での意味と漢字の成り立ち!
最初は、辞書にある「依」の意味をお伝えします。
【依(イ・エ・よる)】
①よる。㋐もたれる。よりかかる。「依存・憑依」㋑たよる。たのむ。「依頼・帰依」
②もとのまま。「依然」
引用元:旺文社国語辞典
意味①で「よる」とありますが…。
その「よる」の意味も、㋐「もたれる」と㋑「たよる」に細分化されています。
「もたれる」は、「スマホに依存しすぎ」といった使い方をする「依存」の「依」。
一方の「たよる」は、「正式に仕事を依頼します」といった使い方をする「依頼」の「依」です。
そして、もう一つの意味「もとのまま」は、「依然として守備陣がかたく乱れない」といった使い方をする「依然」の「依」ですね。
それから、「依る(よる)」でも辞書に載っていましたので、一応その意味も紹介しますね。
【依る(よる)】
・たよる。依存する。手段にする。「レーダーに-観測」
引用元:旺文社国語辞典
「たよる」は前の意味と全く同じで、「依存する」は「もたれる」のことです。
また、「手段にする」とありますが、これは「たよる」とほぼ同じ意味で…。
たとえば、「機械に依る生産を継続できる」といった使い方をします。
この場合、「機械を手段にする」または「機械にたよる」ということ。
あと、「依」の漢字の成り立ちですが…。
「依」の「にんべん」は「人間」のことを意味しています。
右側の「衣」は、「和服の衿元」を形にした漢字。
一番上が「首」で、その下は斜めに「チョン」「チョン」が左右から何度も入り乱れますが…。
これが、左右から何枚も重なり合う和服の衿元を表現しています。
つまり、「にんべん」と「衣」で「人が衣服を身にまとう」ということ。
そこから、「衣服が人によりすがる」ということから、「もたれる」「たよる」という意味になりました。
②「衣」の辞書での意味と漢字の成り立ち!
続いて、「衣」。
辞書の「衣」の意味は、読み方によりそれぞれの箇所に記載されていますが…。
その意味については、全ての読み方毎に紹介します。
まずは、「い」という読み方から。
【衣(イ・エ・ころも・きぬ)】
①きもの。きぬ。「衣服・衣装・衣桁・衣紋・白衣・着衣・弊衣」
②けさ。僧服。「衣鉢・僧衣・法衣」
引用元:旺文社国語辞典
意味①が「きもの」「きぬ」とありますが、これは「衣装」や「着衣」の「衣(い)」ですね。
意味②が「けさ」「僧服」とありますが、これは僧侶が身に着ける衣装です。
僧侶の服ですが…つまりは意味①の「きもの」の一種ということ。
あと、「衣」は「え」とも読みますが、辞書に「え」では未記載でした。
次に、「きぬ」ですが、意味は下のとおりです。
【衣(きぬ)】
①着る物。衣服。
②動物の羽・皮や里芋の皮など、中身をおおっているものをたとえて言う。
引用元:旺文社国語辞典
意味①が「着る物」ですので、「い」で紹介した内容と同じです。
意味②が服のたとえ。
具体的には、「歯に衣(きぬ)着せぬ」や「鶏のひなの、足高に、白うをかしげに、衣(きぬ)短(みじか)なるさまして、ひよひよと」といった使い方をします。
「い」「きぬ」ときて、最後は「ころも」。
【衣(ころも)】
①着る物。衣服の総称。
②僧尼がまとう衣服。法衣。僧衣。「黒染めの-」
③菓子・揚げ物などの外側の皮。「天麩羅の-」
引用元:旺文社国語辞典
意味①は「着る物・衣服」で、意味②が「僧尼がまとう衣服」、とういことで「い」の意味と同じですね。
意味③が、揚げ物で使う「ころも」のことです。
「着る物」を揚げ物などの外側の皮にたとえた使い方ですね。
ということで「い」「きぬ」「ころも」、基本的に全て読み方で「着る物」という意味です。
そして、「衣」の漢字の成り立ちですが…。
これは、前項の「依」で説明したとおり、和服の衿元を形にした漢字。
斜めのいくつかある「チョン」「チョン」が、左右交互に何度も書きますが…。
左右から何枚も重なり合う、和服の衿元を表現しています。
それが、「着る物」という意味の由来ですね。
2.「依」と「衣」の名付けのポイント!
最後に、「依」と「衣」の名付けのポイントをお伝えします。
①「依」の名付けのポイント!
「依」は、前の項で説明したとおり「たよる」という意味があります。
そこから、「頼りになる人間」「頼られる人物」といった願いが込められるのではないでしょうか。
それから、相手からの受け身ではなく「人に寄り添う人間」「人を助ける人物」といった願いも。
さらに、お互いにということで「助け合う」「支え合う」「信頼し合う」といった願いも込められます。
「依」の読み方は「い」「え」「よる」ですが、特に「い」「え」の読みが名付けに使われます。
また、圧倒的に女の子の名前に多く使われる漢字ですが…。
男の子でも、「海依(かい)」「怜依(れい)」といった名前があります。
女の子では、「芽依(めい)」「依茉(えま)」が上位人気の名前。
特に「芽依(めい)」は、2021年の4位です。
②「衣」の名付けのポイント!
「衣」の意味は「着る物」。
つまり、寒さをしのぐためには必須のアイテムです。
そこから、「心の温かい人」といった願いや…。
衣服から、「周囲の人を包み込むような温かい人」「人にやさしく寄り添うことができる人」といった願いが込められます。
また、繊細な織物をイメージして「繊細な心遣いができる人」や、服のデザイナーから「想像力豊かな人」といった願いも。
「衣」の読み方は「い」「え」「ころも」「きぬ」ですが、名付けには「依」と同様に「い」「え」の読みが多く使われます。
男の子であれば、「魁衣(かい)」「瑠衣(るい)」など。
女の子では、「結衣(ゆい)」が上位人気です。
ちなみに、この「結衣(ゆい)」は2021年のランキングが14位ですよ。
まとめ
以上が、「依」と「衣」の意味の違いと、漢字の成り立ちなどについてでした。
「依」の意味は「もたれる」「たよる」、「衣」の意味は「着る物」です。
「衣」は「和服の衿元」が漢字の成り立ち。
そして、「依」はそれに「にんべん」が加わり「人が衣服を身にまとう」ことが漢字の成り立ちです。
参考にしてください。